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沖縄そばの歴史は宮廷料理?「使琉球録」にも記述あり
そうした琉球と中国の交流に加えて、中国に残る『使琉球録』に興味深い記述があります。1534(天文3)年、琉球の王が亡くなり新王即位の際に来琉した中国の使者が、「粉湯」を供されたとされます。粉湯とは小麦粉で打った麺をスープに入れた料理のこと。この宮廷料理が沖縄そばのルーツという説もありますが、現在のところ確定的な説ではなく、その発祥は今なお謎に包まれているのです。
沖縄そばが庶民の味に、戦前は呼び方も違った
沖縄そばが現在のような庶民の味になったのは、明治になってからのことになります。明治中頃、那覇、名護には唐人(とうじん)(中国人)が経営するそば店があり、それらの店から広まった「唐人そば」が、やがて「沖縄そば」として受け入れられていきました。しかし、当時は「すば」や「支那そば」と呼ばれており、「沖縄そば」と呼ばれるのは戦後からになります。
沖縄そばの歴史には試練があった
1976(昭和51)年、沖縄そばにひとつの試練が訪れます。その頃には沖縄そばという呼称が広がっていましたが、ここに公正取引委員会から「そば粉を一切使用しないものをそばと呼ぶのは違反である」と横槍が入ったのです。そもそも、沖縄においては、小麦粉のみで打ったものを、古くから「そば」と呼んできました。「すば」も「唐人そば」も「支那そば」も、そば粉は使っていません。それが沖縄のそばなのです。
「沖縄そば」の呼称を勝ち取る為に奮闘
そこで奮闘したのが、沖縄生麺協同組合です。2年に及ぶ国との交渉の末、1978(昭和53)年10月17日、ついに「本場沖縄そば」の呼称を勝ち取りました。この呼称を使用するには、原料や熟成、麺の太さにいたるまで、12の定義を満たす必要があります。1997(平成9)年には10月17日を「沖縄そばの日」に制定し、沖縄が生んだ最高の麺料理を、国内はもちろん、今では海外へもアピールしています。
利益は地域に還元「共同売店」
「共同売店」は村や集落の住民の共同出資・共同運営によってつくられた売店で、沖縄独特の文化です。1906(明治39)年、沖縄島の北端に近い集落、奥(おく)で設立された「奥共同店」が最初の共同売店で、100年を超える歴史があります。売り上げは共同出資した住民や地域に還元されるシステムで、現在は住民への資金の貸付なども行われています。沖縄そばが庶民の味なら、こちらは庶民の暮らしを支える売店なのです。
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Part.1 地図で読み解く沖縄
・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。
Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網
・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道
…などなど沖縄の交通事情を解説。
Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間
・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?
…などなど沖縄の歴史を徹底解説。
Part.4 沖縄で育まれた産業や文化
・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄
…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。
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