目次
沖縄航路の蒸気船大型化に伴い整備された那覇港
さて、置県後、島内航路の一部では旧来の山原船(やんばるせん)(木製の帆船)に交じって蒸気船が使用されていたものの、沖縄航路で使用された蒸気船のスケールが300トンから1000トン以上のクラスへと大きくなるにつれ、巨船の係留が可能な港湾が必要とされました。そこで1907(明治40)年から、那覇港の本格的な湾岸工事が始まります。大正初期には1200トン級の船舶4隻が同時係留可能となり、大正末期には3000トン級の船が接岸可能になりました。こうして、那覇港と海上交通の近代化が進められたのです。
沖縄航路は戦後再開後は琉球海運が独占
しかし、1941(昭和16)年に太平洋戦争が始まると、那覇港が壊滅的な被害を被るなどしたため、沖縄航路の輸送力は激減します。さらに終戦後、GHQによって沖縄航路の運航が禁止されました。航路が再開したのは1950(昭和25)年で、三井汽船が横浜~沖縄間を就航。のちに朝鮮戦争で米軍への物資輸送の需要が高まると、大阪商船をはじめとした本土5社が相次いで沖縄航路へ参入を果たしました。また、同時期に沖縄側でも琉球海運を設立。「那覇丸」による鹿児島~沖縄航路の24時間就航を実現すると、本土側の船会社は次々に撤退へと追い込まれ、琉球海運が航路を独占するようになっていきました。
沖縄航路は本土復帰後貨客船が次々就航
1972(昭和47)年に沖縄が本土復帰を果たすと、本土からの物資輸送のほかにも、観光客や修学旅行生の利用が激増しました。フェリーの需要が急激に高まったことから、各船会社は貨客船を次々と就航させていきました。しかし、琉球海運が、1975(昭和50)年に開催された沖縄国際海洋博覧会において、社運をかけて豪華客船5隻を投入したものの、不振に終わってしまったことから、資金繰りが悪化し、1976(昭和51)年についに経営破綻してしまいます。
沖縄航路は航空需要の高まりで本州航路は廃止
その後、短時間で本土と沖縄を行き来できる航空需要の高まりによって乗船客は激減し、2014(平成26)年に本州と沖縄を結ぶ航路は廃止となりました。
現在、本土航路は、鹿児島〜奄美〜沖縄便のフェリーのみが就航を続けています。
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Part.1 地図で読み解く沖縄
・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。
Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網
・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道
…などなど沖縄の交通事情を解説。
Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間
・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?
…などなど沖縄の歴史を徹底解説。
Part.4 沖縄で育まれた産業や文化
・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄
…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。
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