目次
那覇空港の歴史は小禄飛行場としてはじまる
那覇空港は1933(昭和8)年、旧日本海軍が小禄(おろく)飛行場として設置したことに始まり、その後、本土と台湾を結ぶ路線の中継基地として太平洋戦争まで軍民共同で使用されていました。しかし、戦後は米軍の管理下において那覇飛行場として拡張整備され、ほぼ今日の空港に近いかたちになりました。
那覇空港の国際線としての歴史はパン・アメリカン航空から
1947(昭和22)年にはパン・アメリカン航空が東京~那覇~香港~マニラ線を開設し、1954(昭和29)年には日本航空が国際線として東京~那覇線を大型旅客機「ダグラスDC-7」により運航を開始します。就航路線は1968(昭和43)年頃には東京、大阪、福岡、奄美、台湾、香港、マニラ、サイパンに向け、週42便が運航されるに至りました。
那覇空港の施設整備の歴史は沖縄本土復帰から活発化
1972(昭和47)年5月に沖縄が本土復帰すると、那覇飛行場は第2種空港の那覇空港になりました。老朽化が著しかった空港施設は整備され、滑走路を150m延長して2700mとし、1974(昭和49)年には大型の「ボーイング747(ジャンボジェット)」が日本航空の東京~那覇線で就航しました。翌1975(昭和50)年には「沖縄国際海洋博覧会」の開催に対応するため暫定ターミナルビルが整備され、1986(昭和61)年には滑走路が3000mになり、新国際ターミナルビルが完成。その翌年に第2国内線ターミナルビルが完成します。1999(平成11)年5月には分散された国内線ターミナルを統合した国内線旅客ターミナルビルが、2014(平成26)年2月には新国際線ターミナルビルが供用開始。2019(平成31)年3月には国内線・国際線ターミナルをつなぐ際内連結ターミナルが本格開業し、現在の那覇空港旅客ターミナルビルとなり活況を呈します。
那覇空港の第2滑走路は海の保全にとくに配慮して建設
しかし、那覇空港は滑走路が1本のみの空港としては福岡空港に次ぐ発着回数を数え、さらに年々発着回数は増加。さらに共用の空港のため、航空自衛隊機のスクランブル(緊急発進)があると民間機の滑走路の使用ができないこともあり、那覇空港は飽和状態となってしまいます。そこで、長さ2700mの第2滑走路の建設が決まり、2014(平成26)年3月に起工、2020(令和2)年3月に供用を開始しました。なお、第2滑走路は従来の滑走路に並行して海を埋め立ててつくられることになりました。サンゴを移植したのち、汚濁防止膜を張って水質汚染防止を試みるなど、沖縄の海の保全にとくに配慮して工事が行われました。
那覇空港の飛躍の歴史はこれからも続く
第2滑走路の完成により、発着回数は年間約13.5万回から約24万回に増加し、那覇空港は飛躍的に進化しました。2021(令和3)年5月現在の那覇空港の乗り入れ就航都市数は45都市47路線におよび、今後もますますの充実が図られることでしょう。
『沖縄のトリセツ』好評発売中!
地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から沖縄県を分析!
沖縄県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。沖縄の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報を満載!
Part.1 地図で読み解く沖縄
・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。
Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網
・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道
…などなど沖縄の交通事情を解説。
Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間
・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?
…などなど沖縄の歴史を徹底解説。
Part.4 沖縄で育まれた産業や文化
・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄
…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。
『沖縄のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!