琉球列島は大陸から離れ気候変動等で形成される
琉球列島が大陸から離れたのは、鮮新世(せんしんせい)後期、約300万年前ころからです。列島の西に沿うように延びる沖縄トラフ(細長い海底盆地)が拡大して海になり、列島は東南側に弧状(こじょう)に張り出すような形になりました(図2)。
現在は、陸地が少なく、海域が広くなり、南西方向に弧状に張り出すような形をしている琉球列島。第三紀、古第三紀に続く中新世から第四紀、現代までの琉球列島の変遷を段階ごとに見てみましょう。緑色部分が当時の陸地となります。
その後も琉球列島は、海洋プレートや沖縄トラフの地殻変動の影響を受け続け、隆起や沈降を繰り返します。さらに、新生代第四期になると氷河期となり、海水面が低下して大陸と陸続きとなりました。逆に間氷期の温暖な時期には極地の氷が解けて、海水面が上昇しました。このような気候変動の繰り返しにより、琉球列島には、さまざまな特徴をもつ地形が形成されることになったのです(図3~図6)。
琉球列島のもっとも特徴的な「琉球石炭岩」
もっとも特徴的なのが「琉球石灰岩」です。これは海が広がった時代に、島々の周辺にサンゴ礁が発達したことにより、サンゴや貝類などの遺骸が厚く堆積して形成されたものです。
琉球列島の地理的な変化は生き物の進化に影響
また、このような地理的な変化は、島々における生物の進化にも大きく影響しました。隆起や海面低下によって大陸や九州とつながると、陸伝いに生物が渡来します。逆に海で隔てられると、島それぞれで独自の進化が始まります。その結果、現在のような多様で貴重な生態系が生まれたのです。
近年は、生物の遺伝子分布や、種が分化した年代についての研究も進み、地質学とともに、地理的な変遷を推測する重要な手掛かりになっています。
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Part.1 地図で読み解く沖縄
・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。
Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網
・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道
…などなど沖縄の交通事情を解説。
Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間
・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?
…などなど沖縄の歴史を徹底解説。
Part.4 沖縄で育まれた産業や文化
・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄
…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。
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