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琉球王国と日本との関係が悪化するも適度な距離を保つ
これに前後して、琉球と島津氏の関係は悪化していました。1588(天正16)年に秀吉は島津氏を通じて琉球国に服属を求めたところ、琉球王の尚寧(しょうねい)はこれを拒否していたのです。
「唐入り」を前にした秀吉は琉球への服属要求を強め、朝鮮出兵に際して1万5000の軍役を薩摩の島津氏と琉球で分担して負担するように求めてきました。このとき島津義久は、兵は島津軍が出すので、日本式の軍法に慣れていない琉球に対しては7000人分の兵糧(ひょうろう)を10カ月分負担するよう指示してきます。
この頃、琉球王の尚寧は明の冊封使(さくほうし)を迎える準備を進めていて出費がかさんでおり、結局、島津氏には要求量の「過半」を供出し、日本とは適度な距離を保つのでした。
江戸時代に入り琉球王国へ明との斡旋役を目論む幕府
足かけ7年続いた朝鮮出兵は、1598(慶長3)年に秀吉の死去によって幕を閉じます。1600(慶長5)年に関ヶ原の戦いに勝利して天下の第一人者となった徳川家康には、明との関係改善を図り、勘合貿易を復活させたい意向がありました。
そうした状況下で1602(慶長7)年、奥州の伊達(だて)領に琉球船が漂着。家康は島津氏に命じ、丁重に琉球へと送還させます。もちろんそれは琉球からの返礼使節を期待してのことであり、明との関係改善の斡旋(あっせん)役を琉球に担わせようとしていたのです。しかし琉球は、返礼使節を送ることはありました。
江戸時代に琉球王国は薩摩藩からの侵攻をうける
薩摩の島津氏は他藩に例を見ないほど武士を抱えており、藩財政は逼迫(ひっぱく)していました。このため島津氏は琉球を服属させて財源としようと目論み、幕府に琉球侵攻を願い出たのです。
1609(慶長14)年、家康は島津氏の琉球侵攻願いを許可します。島津氏は兵3000、鉄砲730挺、船100隻の侵攻軍を編制し、同年3月4日に山川港(鹿児島県指宿(いぶすき)市)から出陣しました。
江戸時代に琉球王国は幕府の支配下に
島津軍は奄美大島、徳之島、沖永良部島と攻略して沖縄島へと進軍していきました。琉球国にも軍事組織は存在しましたが、戦闘経験に乏しく、軍備も充実していなかったため、鉄砲隊を主力とする島津軍に圧倒されてしまいます。
江戸時代の琉球王国への侵攻
琉球は奄美大島、徳之島、沖永良部島で島津軍をくい止められず、沖縄島への上陸を許してしまいます。島津軍はまず運天港に上陸し、今帰仁グスクを占領。それから那覇港へ向かったとされています。
琉球王国は残ったものの江戸幕府の支配下に
そして4月、首里城を占拠され、琉球王・尚寧は降伏を申し入れるのでした。この結果、琉球は形式的には独立国としての体裁を保ちながらも、実質的には薩摩藩の支配を受け、島津氏の対明交易の窓口となっていくのです。
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Part.1 地図で読み解く沖縄
・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。
Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網
・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道
…などなど沖縄の交通事情を解説。
Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間
・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?
…などなど沖縄の歴史を徹底解説。
Part.4 沖縄で育まれた産業や文化
・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄
…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。
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