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羽地朝秀が琉球王国再興に奮闘

1611年、琉球では検地が行われ、本土と同様に石高(こくだか)制が導入され、厳しい税が課せられるようになりました。
薩摩藩支配下の琉球にあって、王国再建に尽力したのが羽地朝秀(はねじちょうしゅう)です。1666年に摂政に就任した羽地朝秀は、従来の琉球王国の制度を幕藩体制に順応できるように種々の政治改革を行います(羽地仕置(しおき))。

羽地朝秀が整備した身分制度区分

そのひとつが身分制度の整備です。士族階級には系図・家譜(かふ)の作成を命じ(系持)、上級士族である「大名方」(王子、按司(あじ)、親方)は要職に従事し、下級士族の「士」は一般事務に就きます。系図・家譜をもたない平民層(無系)は、那覇や首里城の周辺で商工業に従事する町百姓と、農業を営む田舎百姓に区別されました。

琉球文化と江戸の文化が交わる

羽地朝秀は開墾を奨励して、琉球の生産性を高めます。この頃には黒糖を精製する技術が確立していたので、サトウキビの栽培を促進。砂糖やウコンといった琉球の特産品を王府の専売制とするのでした。

琉球文化に江戸文化を取り入れ発展させる

また、羽地朝秀は士に対しては学問だけでなく、音楽や踊り、茶道や華道といった芸能や芸術を奨励します。薩摩との関係を構築せざるを得ない琉球にとって、日本式の教養は必要不可欠であったからです。江戸に使節を派遣する(江戸上り)際に披露するために中国音楽や漢詩なども奨励し、琉球では歌舞音曲が広く浸透していきました。

琉球文化のさらなる発展を目指す

羽地朝秀の薩摩協調路線を踏襲したのが、進貢使節の副使として北京に派遣されたのち、皇太子(尚敬(しょうけい))の養育係になった蔡温(さいおん)です。

蔡温の政治が始まる

尚敬の即位後に「国師」の地位を与えられた蔡温は、1728年に三司官に推任されて政治の実権を掌握。数十にのぼる河川を改修するなど治水事業に力を入れ、農地の拡大を図り、農業を奨励しました。また、人口増加にともなって、家屋の建築資材や薪などの生活資材の需要が高まることを見越して、植林や山林保護を徹底させたのです。王府の財政を再建したものの、ウコンや砂糖の専売制を強化したり、百姓が都市へ移り住むことを禁止したりするなど、強権的な方策も採りました。

琉球文化とヨーロッパ諸国との交わり

アヘン戦争(1840〜1842年)で清がイギリスに敗北すると、ヨーロッパ諸国は積極的にアジア進出を展開します。薩摩藩は幕府の許可を得て琉球に英仏への開港を命じて対応しました。そして1853年、ペリー率いる米艦隊が琉球を訪れます。

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Part.1 地図で読み解く沖縄

・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。

Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網

・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道

…などなど沖縄の交通事情を解説。

Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間

・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?

…などなど沖縄の歴史を徹底解説。

Part.4 沖縄で育まれた産業や文化

・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄

…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。

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