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八ヶ岳の黒曜石からついた星がつく地名

中部高地で黒曜石が出土する場所には「星糞峠(ほしくそとうげ)」「星ヶ塔」「星ヶ台」など、「星」がつく地名がたくさんあります。これは、足元でキラキラ光る黒曜石のかけらを、人々が空から降ってきた星のかけらだと信じたことが由来であるといわれています。

星糞峠の黒曜石鉱山では、ドーナツ形の土手の中央部にクレーター状の窪みがあり、縄文人が黒曜石を掘り出していた痕跡を見ることができます。

八ヶ岳の黒曜石の広域流通

掘り出された黒曜石は、麓の村から村へと運ばれていき、村を結ぶ道は「黒曜石の道」となっていきました。この地で採れた黒曜石は、遠く離れた北海道の遺跡からも見つかっており、良質な黒曜石を求めて遠くの地域から他の縄文人が訪れていたようです。

現在のような運搬手段がなかった時代に、いったいどのように運んでいたのかは謎に包まれていますが、産地限定の黒曜石が大量に、しかも広域に流通していたという事実は、この石がいかにハイブランドで人気が高かったのかを物語っています。

この黒曜石の交易を通して、人や物、情報などがこの山麓に集まった結果、芸術性が高く当時の人々の精神性がよくわかる資料が多く作られたと考えられます。

八ヶ岳周辺の縄文土器の特徴

また、八ヶ岳周辺の縄文遺跡からは黒曜石のほかにも多くの土器や土偶が見つかっています。縄文中期の土器は、華やかさや芸術性の高さが特徴です。土器には水の流れや森の草木、そして人や動物の姿がいきいきと立体的に描かれており、ここでは国内外でも類まれなる土器文化が発達していたといえます。

鋳物師屋前遺跡(いもじやまえいせき)や津金御所前遺跡などの出土品には、母から生まれようとする子どもの顔や歌い踊るような人の姿も描かれており、まるで当時の生活の一部をそのままに伝えているようです。

女性、とりわけ妊婦を表現しているものが多いことも特徴的で、棚畑遺跡から出土した「縄文のヴィーナス」は、縄文時代の遺物として初めて国宝に指定されました。この地が生み出す縄文土器のその特有な文様やデザインには、この地の人々の死生観や精神世界などが、 強くこめられているのかもしれません。

国宝「土偶」(縄文のビーナス)

八ヶ岳山麓の土偶の特徴と造形美を合わせ持ち、当時の精神文化を考えるためにも貴重な学術資料であることから、縄文時代の遺跡から見つかったものの中で初めて国宝に指定されました。

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Part.1 地図で読み解く山梨の大地

・山の都として栄えた甲府盆地はどのようにできたのか?
・富士五湖は富士山の溶岩でせき止められた2つの湖だった!?
・日本一の造形美をつくり出す昇仙峡は何でできている?
・3000年に“2度”の大噴火が生み出した青木ヶ原の樹海
・もうひとつの富士「黒富士」にある燕岩の正体
・富士山文化遺産の構成資産、山梨にある2つの「胎内めぐり」
・「池」だけど「八海」!神秘の風景・忍野八海
・日照時間日本一の秘密は地形にあり!?
・富士川の洪水を防いだ「信玄堤」と「万力林」

…などなど山梨のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 山梨を駆け抜ける鉄道網

・甲州市から山梨市にかけて、中央本線が北に大きく迂回するわけ
・高額運賃の私鉄が国有化の悲願を果たし、現在に至る身延線
・昭和モダンの香りを漂わせ、今も現役の山梨の駅舎たち
・ここは東京?ちょっと意外な丹波山村の公共交通事情
・甲府盆地を走り、「ボロ電」と呼ばれた山梨交通電車線
・実は2つの路線から成り立っている富士急行線
・約2年間だけ標高日本一の駅があった、小海線の山梨県内区間
・6つのスイッチバック駅に助けられ、甲斐路を辿った中央本線
・リニアモーターカーの実験線が山梨にできたわけ
・古くからの富士山吉田口登山道を継承する山梨県道701号

…などなど山梨ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 山梨で動いた歴史の瞬間

・古代 いにしえの八ヶ岳周辺は“星降る里”だった!?
・古代 甲斐銚子塚古墳が東日本最大級なワケ
・平安~中世 武田氏の先祖にあたる戦国エリート「甲斐源氏」
・中世(鎌倉) 日蓮聖人の波乱に満ちた生涯と身延山
・戦国時代 山梨の神!武田氏3代が鎮座した武田神社
・戦国時代 信玄が進み勝頼が広げた武田氏の最大領地は?
・江戸時代 徳川家康に対抗するために築城された甲府城
・江戸時代 幕府直轄地で発展した甲州街道と富士川舟運
・近現代 幕末の財界を牛耳った甲州商人が売ったもの
・近現代 明治40年の甲府の大水害からの復興
・近現代 空港のない山梨県にあった秘密の飛行場“ロタコ”

…などなど、激動の山梨の歴史に興味を惹きつける。

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