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沖縄海洋博は当時世界最大規模

会場となったのは本部半島(国頭郡本部町)で、海洋を対象とする世界初の国際博覧会(テーマは「海−その望ましい未来」)となりました。会期は1975(昭和50)年7月20日から翌1976(昭和51)年1月18日までの183日間で、36カ国と3つの国際機関が参加。これは当時の博覧会としては世界最大の規模でした。

会場内にはパビリオンや海洋生物園、遊園地などが建設され、日本政府は総工費123億円を投じて「アクアポリス」を出展しました。アクアポリスは、未来の海上都市をイメージした半潜水型浮遊式海洋構造物であり、プロデューサーにはマンガ家の手塚治虫を迎え、同博覧会の目玉となりました。この沖縄国際海洋博覧会(以下、沖縄海洋博)には、会期中に合計350万人が来場しました。

沖縄返還により沖縄の生活水準向上を伴った予算規模

沖縄海洋博の事業費は、当初は2000~2500億円と想定されていましたが、実際には公共投資1800億円を含む3400億円にも膨れあがった。公共投資の内訳を見ると、道路整備事業(沖縄自動車道や一般国道58号線などの整備)に839億円、空港整備事業(那覇空港など)に75億円、港湾整備事業(那覇港など)に85億円、治水事業(ダムなど)に48億円、下水道事業に67億円、水道事業に397億円、通信施設整備に285億円などが大きい金額となっています。
沖縄海洋博の開催そのものよりも、沖縄県全体の生活水準向上にかかわる社会資本の整備に費やされたのです。

沖縄返還以降は沖縄海洋博によって「リゾート地・沖縄」へ

沖縄海洋博を通じて沖縄のイメージ向上とPRに成功し、整備された社会資本のおかげで、沖縄では観光産業が花開きます。沖縄を訪れた入域観光客数は、本土返還の1972(昭和47)年には44.4万人(観光収入324億円)だったのに対し、沖縄海洋博が開催された1975(昭和50)年には155.8万人を記録しました。1979(昭和54)年には180.8万人に達し、1984(昭和59)年には初めて200万人を突破。1991(平成3)年には沖縄トロピカル・リゾート構想が発表され、リゾート開発に拍車がかかります。

国内だけでなく海外にも「リゾート地・沖縄」を積極的に売り込んでいった結果、2018(平成30)年には入域観光客数は1000万人を突破し、観光収入は7340億円に達した。沖縄海洋博こそが、沖縄の産業構造が一変した転換点であったのです。

沖縄海洋博の跡地

なお、沖縄海洋博の跡地は国営沖縄記念公園(海洋博公園)として整備されました。海洋生物園は会期終了後にも名称を変えながら営業を続け、2002(平成14)年には施設を建て替えて、国内最大級の水族館「沖縄美ら海水族館」としてリニューアル。沖縄の新しい観光の目玉として人気を博しています。

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Part.1 地図で読み解く沖縄

・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。

Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網

・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道

…などなど沖縄の交通事情を解説。

Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間

・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?

…などなど沖縄の歴史を徹底解説。

Part.4 沖縄で育まれた産業や文化

・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄

…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。

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