アメリカ統治下が続いた沖縄
1952(昭和27)年4月28日、前年にサンフランシスコで締結された「日本国との平和条約」と日米安全保障条約が発効され、日本は主権を回復します。しかし、沖縄は引き続きアメリカ軍の施政権下に置かれることになりました。
平和条約の発効にともない、土地を無償使用する根拠を失うことになるので、米国民政府は軍用地の借地契約を結ぼうとします。しかし、提示条件が悪いために契約交渉は思いどおりに進まず、1953(昭和28)年4月に米国民政府は「土地収用令」を出します。「銃剣とブルドーザー」による土地の強制収用の結果、沖縄では「島ぐるみの土地闘争」や「祖国復帰運動」が過熱していきます。米兵による事件・事故の多発、それに対する住民の人権を無視した米国側の不当な処理に反米感情は悪化し、反戦気運が高まった1970(昭和45)年にはコザ騒動と呼ばれる米軍施設や米軍車両の焼き討ち事件へと発展しました。
沖縄の米軍基地は日本本土復帰後も増え続ける
佐藤栄作首相とニクソン大統領の沖縄返還交渉の末、1972(昭和47)年5月15日に沖縄は日本に返還されます。戦後の日本が高度経済成長期を経て発展を遂げたのに対し、アメリカ軍政下に置かれた沖縄は取り残され、基地依存型の経済構造が形成されました。
いっぽうで基地の米兵からはジャズやロックに代表されるアメリカの大衆文化が流入し、また米軍の直接統治を受けたことで本土とは異なった制度や慣習が根づき、沖縄ならではの独自文化が形成されていきました。
現在、日本全国の米軍専用施設の面積のうち、約7割を沖縄県が占めます。沖縄島の約15%が米軍専用施設であり、沖縄の負担は大きいのです。沖縄の基地問題は、依然として日本の政治課題であり続けているのです。
現在の沖縄の米軍基地施設
沖縄県内には米軍専用施設が31あり、その総面積は約1万8484ヘクタールに及びます。日本全国の米軍専用施設面積のうち沖縄県が占める割合は、日本復帰した1972(昭和47)年には約58.7%でしたが、2020(令和2)年3月現在、約70.3%となっています。
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Part.1 地図で読み解く沖縄
・造山運動によって形成された琉球列島/新しい地層と古い地層、南北で異なる沖縄本島の地質
・エメラルドグリーンの海は隆起してできたサンゴ礁のおかげ?
・グスクの石垣から地下ダムまで利用される琉球石灰岩
・貴重な自然の宝庫「やんばるの森」とは?
・マングローブの生態系が「生きものたちのゆりかご」と呼ばれるのはなぜ?
・県内唯一の活火山島である硫黄鳥島は硫黄の産地だった
・西表島で行われた炭鉱開発とは?…などなど沖縄の自然を解説。
Part.2 陸海空、沖縄に巡らされた交通網
・那覇空港と市街を結ぶ県内唯一の鉄道路線「ゆいレール」
・県民の足として、輸送手段としても活躍していた沖縄県鉄道とは?
・海軍の飛行場からスタートし、各地を結ぶ那覇空港
・明治初め、本州と那覇を結ぶ国内最長の定期航路が誕生!
・沖縄復興のシンボルといわれた730バスとは、どのようなバスだったのか?
・全ての道は首里城に通じる?首里城から那覇港、本島南部に通じる琉球石灰岩の道
…などなど沖縄の交通事情を解説。
Part.3 沖縄で動いた歴史の瞬間
・沖縄の古代史総論/約2000万年前に住んでいた港川人はどこからやってきたのか?
・沖縄本島を三分割して約100年も勢力争いが続いた三山時代とは?
・琉球から江戸まで片道2000㎞の長旅 琉球使節の江戸参府の全貌
・黒船が琉球にやってきた!浦賀上陸前に琉球を訪れたペリーの目的とは?
・ソテツ地獄を経て、国内で唯一戦場となった沖縄
・沖縄の日本復帰を記念して開催された沖縄海洋博覧会とは?
…などなど沖縄の歴史を徹底解説。
Part.4 沖縄で育まれた産業や文化
・元々は宮廷料理だった?沖縄の郷土料理・沖縄そば
・男子禁制の祈りの場、御嶽とはいったいどのような場所なのか?
・15世紀に伝わり戦火からも復活!沖縄を代表する酒・泡盛の奇跡
・薩摩から朝鮮人陶工がやってきたのが始まり?沖縄やちむんの魅力とは
・絣や紅型のほか多彩な染織物「染色文化の宝庫」と呼ばれる沖縄
…などなど沖縄の産業と文化を丁寧に解説。
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