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【秋田県域の街道】2大重要ルートとなった「奥州街道」と「羽州街道」
奥州街道は日本橋から宇都宮宿(栃木県宇都宮市)までの17宿は日光街道と重複し、その先で分岐して現在の福島県、宮城県、岩手県域を経て三厩(みんまや)宿(青森県東津軽郡)に至ります。
東日本を縦断する大動脈であり、桑折(こおり)宿(宮城県桑折町)で脇街道の羽州街道(うしゅうかいどう)にわかれると、宮城県域、山形県域を経由し、雄勝峠(おがちとうげ)から秋田県域に入って下院内(しもいんない)宿(湯沢市下院内)や城下町の久保田宿や土崎湊(つちざきみなと)宿(秋田市)を経て能代、大館方面へと抜けていき、油川(あぶらがわ)宿(青森県青森市)でふたたび奥州街道に合流します。
奥州街道の総延長827㎞に対して羽州街道は497㎞とそれに次ぐ長さを誇り、東北の二大街道として人々に利用されました。
羽州街道は出羽国11藩(上山(かみのやま)藩、山形藩、天童藩、長瀞(ながとろ)藩、新庄藩、庄内藩、出羽松山藩、矢島藩、本荘藩、亀田藩、久保田藩)と陸奥国2藩(黒石藩、弘前(ひろさき)藩)が参勤交代に用いました。久保田藩主・佐竹氏の場合、久保田城下から江戸までの行程は約600㎞で、14、5日かけて移動しました。
羽州街道は参勤交代以外にも、出羽三山(月山(がっさん)、羽黒山(はぐろさん)、湯殿山(ゆどのさん))への参詣や物資交易の街道として発展していきました。
羽州街道
久保田藩領を縦貫する羽州街道。秋田県域の特産品である天然秋田杉が建築材として求められ、全国に移出されていきました。
【秋田県域の舟運】秋田三大河川で発展した舟運
いっぽうの舟運に目を移すと、日本海に注ぐ秋田三大河川(米代川、雄物川、子吉川)では古くから舟運が盛んでしたが、とりわけ米代川は江戸時代におおいに発展しました。
その主要な運搬物資は、阿仁銅山(あにどうざん)で掘り出された銅鉱石でした。米代川を下って能代港に運び込まれた銅は、日本海の海運に接続して「長崎御用銅」として大坂に運ばれていきました。
【秋田県域の舟運】日本海と大阪を結んだ北前船交易
また、日本海の海運は御城米(年貢米)の運搬に利用されました。1672(寛文12)年に河村瑞賢(かわむらずいけん)によって開拓された西廻り航路は、日本海を西に進路に取り、佐渡島や能登半島を経由して下関(山口県下関市)から瀬戸内海に入り、大坂へと至ります。
貨幣の原料に使用される銅や銀も、このルートで運び込まれ、大坂の銀座で鋳造されるのでした。この海運を利して北前船交易が発展し、秋田県域もその一端を担いました。
秋田蘭画とは
秋田蘭画(あきたらんが)とは、安永年間(1772~1781年)に久保田藩の藩士が中心となって描いた絵画のことで、従来の東洋画の伝統手法に加え、遠近法や陰影法といった西洋画の手法が取り入れられたものを指します。
鉱山の技術指導に訪れた平賀源内(ひらがげんない)が久保田藩士・小田野直武(おだのなおたけ)に西洋画の技法を伝えたのが起源とされます。のち直武は『解体新書』の挿絵を描きましたが、源内が友人の杉田玄白(すぎたげんぱく)に直武を紹介したのでしょう。
秋田蘭画は担い手がなく、天明年間(1781~1789年)には廃れてしまいました。
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Part.1 地図で読み解く秋田の大地
・秋田県の地形総論
・火山の痕跡や地殻変動を体感!男鹿半島ぐるり1周ジオ巡り
・世界最大の二重カルデラ湖「十和田湖」はどうやって生まれた?
・地下にかつての雄物川の流路!? 秋田平野が形成の驚きのしくみ
・黒川や雄物川流域に油田続々!秋田ではどうして油が採れる!?
・ブナ林が発達し海成段丘が縁取る 起伏が激しい白神山地の形成史
・美しき田園・象潟の九十九島は鳥海山の山体崩壊でできた
・大館・鷹巣・鹿角盆地と能代平野 米代川流域に形成された地形の謎
Part.2 秋田を駆ける充実の交通網
・全国2番目のミニ新幹線、E6系「こまち」が走る秋田新幹線
・一部レール幅を変えて新幹線もいく!福島~青森を結ぶ幹線・奥羽本線
・新津~秋田を結ぶ日本海側の動脈 寝台特急「日本海」も走った羽越本線
・米代川に沿って走る本州横断線 スイッチバックも見事な花輪線
・東能代~川部を結ぶ絶景ローカル線 「リゾートしらかみ」が走る五能線
・鷹巣と角館を結ぶ旧国鉄角館線 秋田内陸縦貫鉄道は見どころ満載!
・釜石~横手~本荘を結ぶ大計画も!? 由利高原鉄道鳥海山ろく線がすごい
・小坂鉱山の鉱石輸送のため開業 旅客輸送も担った幻の小坂鉄道/昭和40年代に消えたローカル私鉄 羽後交通の雄勝線・横荘線とは?
Part.3 秋田の歴史を深読み!
・秋田の古代史総論
・大型住居跡やストーン・サークルなど秋田県の縄文遺跡がおもしろい!
・出羽柵が遷置・整備されて秋田城と呼ばれるようになった
・奥羽を支配した出羽の豪族・清原氏が後三年の役により滅亡
・秋田の中世史総論
・八郎潟東岸を拠点とする大河兼任が鎌倉幕府に対して反乱を起こす
・秋田の近世史総論
・佐竹氏の入部以降、鉱山開発が進み鉱業が秋田藩の財政を支えた
・古来より栄えていた舟運に加え街道が整備され交易が盛んに!
・近現代史総論/奥羽越列藩同盟を離脱し新政府側へ 秋田藩の戊辰戦争と戦後のゆくえ
・日本最後の空襲となった土崎空襲 どうして土崎港が狙われたのか?
Part.4 秋田で育まれた産業や文化
・全国屈指の産油量だった秋田県がシェールオイルの開発・商業生産へ
・秋田港、船川港、能代港 三つの重要港湾が海上輸送網の拠点
・国内有数の米どころ・秋田県は農業産出額の5割以上を米が占める
・かつては国内2位の広さを誇る湖!? 八郎潟の干拓と大潟村の歴史
・古来より建材や工芸品に用いられた秋田杉の活用と保存の取り組み
・日本のロケット発祥の地は秋田県の道川海岸だった!
・地熱発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が加速
・県内各地で伝承されている民俗芸能 国指定重要無形民俗文化財は国内最多!
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