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秋田で望まれた奥羽本線

奥羽本線の歴史は明治期に遡ります。1891(明治24)年9月、私鉄の日本鉄道により上野〜青森間(東北本線)が開通すると、秋田県や山形県などではこれに刺激され鉄道建設の声が高まりました。鉄道敷設法が公布されると奥羽線の建設が国により計画され、青森〜湯沢間の奥羽北線、福島〜湯沢間の奥羽南線として南北から建設が進められました

着工は1893(明治26)年。1894(明治27)年12月に青森〜弘前間が開業しましたが、奥羽山脈を越える板谷峠は難工事のため1899(明治32)年5月に福島〜米沢間が開業。のちの1905(明治38)年9月に福島〜青森間が全通しました。

奥羽本線を代表する特急列車「つばさ」

以来、奥羽本線は、東京と山形、秋田、青森を結ぶ重要路線として多くの優等列車や貨物列車が運転されてきました。

その代表格は、上野〜秋田間を結んだ特急「つばさ」でしょう。「つばさ」は奥羽本線初の特急列車として1961(昭和36)年10月のダイヤ改正でデビュー。「非電化幹線の女王」と呼ばれたキハ80系気動車により運転を始めました。連日満席で指定券の入手が困難なほどで、秋田駅では特急「白鳥」に接続し北海道連絡も行いました。

1970(昭和45)年2月、車両はエンジン出力を増強したキハ181系に変更。さらに、1975(昭和50)年11月からは485系電車へと置き換わりました。その後、1982(昭和57)年の東北新幹線開業で特急「つばさ」は福島〜秋田間の特急となりましたが、上野発着の列車もしばらく残されました。

しかし、山形新幹線の開業で特急「つばさ」は廃止され、愛称名も新幹線に譲りました。「つばさ」は山形新幹線の列車として広く知られますが、元来「つばさ」は、東京と秋田を結ぶ奥羽本線を走った特急列車の愛称であることを忘れてはなりません。

海上を走った旧船川線と男鹿線

男鹿線は、秋田市の追分駅から男鹿半島の男鹿(旧・船川)駅を結ぶ小さな路線です。男鹿市の船川港からの物資輸送がおもな目的の船川軽便線として1916(大正5)年12月に全通。のちに船川線に改称され、1937(昭和12)年6月には貨物線として船川港駅(2002年廃止)まで延伸。1968(昭和43)年4月、男鹿線となり船川駅も男鹿駅に改称されました。

かつては上野〜男鹿間に直通の夜行急行「おが」が走り、晩年はブルートレインの20系客車が寝台・座席車混合で使用されていました。

現在は埋め立てられましたが、開業当時は海上に線路が通る区間もあり、現在も男鹿石でつくられた「旧船川線防波堤」が名残を留めています。

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Part.1 地図で読み解く秋田の大地

・秋田県の地形総論
・火山の痕跡や地殻変動を体感!男鹿半島ぐるり1周ジオ巡り
・世界最大の二重カルデラ湖「十和田湖」はどうやって生まれた?
・地下にかつての雄物川の流路!? 秋田平野が形成の驚きのしくみ
・黒川や雄物川流域に油田続々!秋田ではどうして油が採れる!?
・ブナ林が発達し海成段丘が縁取る 起伏が激しい白神山地の形成史
・美しき田園・象潟の九十九島は鳥海山の山体崩壊でできた
・大館・鷹巣・鹿角盆地と能代平野 米代川流域に形成された地形の謎

Part.2 秋田を駆ける充実の交通網

・全国2番目のミニ新幹線、E6系「こまち」が走る秋田新幹線
・一部レール幅を変えて新幹線もいく!福島~青森を結ぶ幹線・奥羽本線
・新津~秋田を結ぶ日本海側の動脈 寝台特急「日本海」も走った羽越本線
・米代川に沿って走る本州横断線 スイッチバックも見事な花輪線
・東能代~川部を結ぶ絶景ローカル線 「リゾートしらかみ」が走る五能線
・鷹巣と角館を結ぶ旧国鉄角館線 秋田内陸縦貫鉄道は見どころ満載!
・釜石~横手~本荘を結ぶ大計画も!? 由利高原鉄道鳥海山ろく線がすごい
・小坂鉱山の鉱石輸送のため開業 旅客輸送も担った幻の小坂鉄道/昭和40年代に消えたローカル私鉄 羽後交通の雄勝線・横荘線とは?

Part.3 秋田の歴史を深読み!

・秋田の古代史総論
・大型住居跡やストーン・サークルなど秋田県の縄文遺跡がおもしろい!
・出羽柵が遷置・整備されて秋田城と呼ばれるようになった
・奥羽を支配した出羽の豪族・清原氏が後三年の役により滅亡
・秋田の中世史総論
・八郎潟東岸を拠点とする大河兼任が鎌倉幕府に対して反乱を起こす
・秋田の近世史総論
・佐竹氏の入部以降、鉱山開発が進み鉱業が秋田藩の財政を支えた
・古来より栄えていた舟運に加え街道が整備され交易が盛んに!
・近現代史総論/奥羽越列藩同盟を離脱し新政府側へ 秋田藩の戊辰戦争と戦後のゆくえ
・日本最後の空襲となった土崎空襲 どうして土崎港が狙われたのか?

Part.4 秋田で育まれた産業や文化

・全国屈指の産油量だった秋田県がシェールオイルの開発・商業生産へ
・秋田港、船川港、能代港 三つの重要港湾が海上輸送網の拠点
・国内有数の米どころ・秋田県は農業産出額の5割以上を米が占める
・かつては国内2位の広さを誇る湖!? 八郎潟の干拓と大潟村の歴史
・古来より建材や工芸品に用いられた秋田杉の活用と保存の取り組み
・日本のロケット発祥の地は秋田県の道川海岸だった!
・地熱発電や風力発電などの再生可能エネルギーの導入が加速
・県内各地で伝承されている民俗芸能 国指定重要無形民俗文化財は国内最多!

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