秋田駒ヶ岳の形成と火山活動
最近の研究によると、秋田駒ヶ岳の形成は主成層火山形成期、カルデラ形成期、後カルデラ活動期の大きく3段階に分けられています。
もっとも初期に噴火した溶岩の年代測定により、秋田駒ヶ岳火山の形成が始まったのは、約10万年前と推定されています。
秋田駒ヶ岳は、比較的穏やかに溶岩や火砕物を噴出する活動が続き、北西9㎞、南東4.5㎞ほどの富士山型の成層火山体を形成していました。この成層火山の高さは1700~1800mで、今よりも100~200mほど高かったと考えられています(主成層火山形成期)。
約1万3000年前、秋田駒ヶ岳の南部山体中央部付近で大噴火が起こり、大規模な火砕流(生保内(おぼない)火砕流)が起こり、軽石を噴出。山体が崩壊し、南部カルデラが形成されました(カルデラ形成期)。
カルデラが形成された後の秋田駒ヶ岳の火山活動は、約1万~7000年前と約4000~1000年前の時期に集中して起こりました(後カルデラ活動期)。
この時期、カルデラ壁(外輪山)の北側では爆発的噴火による山体崩壊が起き、溶岩流の流出や火砕丘の形成が繰り返し起こりました。いっぽうカルデラ内では溶岩が噴出し、南岳、女岳、小岳の火口丘が形成されました。
秋田駒ヶ岳のその後の火山活動と現在
これ以後、秋田駒ヶ岳の火山活動は断続的に続き、有史以来4回の噴火が記録されています。
1回目は915(延喜15)年以前で、小岳が噴火。2回目は1890(明治23)~1891(明治24)年、水蒸気爆発。3回目は1932(昭和7)年、女岳南西で水蒸気爆発。新火口、新噴石丘が形成。
そして4回目、もっとも最近に起こったのが、1970(昭和45)~1971(昭和46)年に起こった噴火です。女岳山頂の西端の火口から高温の火山弾が火口上空600mまで噴き上げられ、半径500mの範囲に落下、火口からは溶岩が流出しています。
現在も秋田駒ヶ岳では、女岳での地熱活動が続いています。秋田駒ヶ岳は今も生きつづけている荒ぶる火山なのです。
日本一深い田沢湖の謎
田沢湖は、秋田県仙北(せんぼく)市にある湖です。ほぼ円形をしていて、直径は約6㎞。最大深度は423.4m、日本でもっとも深い湖です。その形と深さから、隕石の衝突でできたクレーターに水が溜まったという説や地面が落ち込んでできた陥没湖説などさまざまな説が唱えられてきました。
現在では約180万~140万年前に起こった大規模な噴火によるカルデラという説が有力になっています。しかし、田沢湖の容積に合うだけの火砕流などが見当たらないことなどから否定的な意見もあり、日本で一番深い湖の成因はまだわかっていません。
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