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高岡銅器の発展は前田利常が発展させた鋳物工場から
前田家2代・利長によって、高岡に城下町が開かれたのは慶長14(1609)年のことです。現在の高岡市金屋町に鋳物師(いもじ)を招いて鋳物工場を設けます。しかし、高岡の開町からわずか5年で前田利長が死去。さらにその翌年には一国一城令が発せられ、前田家では金沢城が残されることになったため、高岡城は廃城になってしまいます。城下町でなくなった時点で高岡の町は衰退していてもおかしくありませんでしたが、それを食い止めたのが前田家・3代利常です。利常は前田利家の実子ですが、男子のいなかった利長の養子となったため、利家より利長に恩を感じていたといわれています。義父の遺志を継ぎ、高岡町人に転出禁止令を出し、高岡を経済拠点として発展させていきました。
高岡銅器は海外の博覧会にも出品されるほど
当初は鉄の鍋や釜などの日用品、鋤や鍬などの農具が中心でしたが、江戸中期以降は銅合金の鋳物づくりが栄え始め、仏具や梵鐘などがつくられるようになりました。江戸後期以降には花瓶、キセル、火鉢なども登場。明治初期、廃刀令により刀装彫金の需要がなくなると、金沢で職を失った職人が高岡に集まり、高岡の職人たちと切磋琢磨して技術を向上させました。明治6年(1873)のウィーン万国博覧会を皮切りに海外の博覧会にも出品され、高岡銅器の名は世界にも広まりました。
高岡銅器は全国シェア9割以上
高岡銅器の全国シェアは9割以上にも及ぶといわれ、かの二宮金次郎像や梵鐘の多くが高岡でつくられています。また、浅草寺の門前にある黒提灯は紙でなく銅製なのですが、これも高岡の鋳造所が手がけたものです。高岡の銅器づくりは、複数の製作所や職人が工程を分担するのが基本。原型、鋳造、仕上げ、彫金、着色と金属加工のあらゆる技術が集まっているため、高岡の町だけで分業制が成り立つというのが全国的にも珍しい強みになっています。昭和52(1977)年には、高岡銅器の生産性の向上や関連企業との連携、公害問題の解消などのため、銅器団地という銅器に特化した工業団地が立ち上がります。2020年時点で、44の企業が参加しています。
高岡銅器など鋳物の町としての課題
現在は銅器だけではなく、アルミや錫などさまざまな金属製品がつくられるように。たとえば主に仏具を製造してきたメーカー「能作」は、錫や真鍮を使った酒器やテーブルウエアを生み出しており、そのモダンなデザインが注目を集めています。職人が高齢化しているという課題もありますが、鋳物の町として時代の変化に対応していけるかが今後の鍵となります。
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・マッターホルンの麓町から着想 低速電気バスEMUと宇奈月温泉
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・焼け野原と化した富山大空襲/富山の遺跡&古墳は個性派ぞろい
・放生津に存在した亡命政権
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・世界遺産は加賀藩の軍事工場 五箇山でおこなわれた塩硝づくり
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Part.4 富山で育まれた文化や産業
・「越中おわら節」はなぜ有名?
・財政難を立て直した富山の売薬
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・秀吉も称えた伝説の刀工・郷義弘
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・ジャポニズムの立役者・林忠正
・アニメの聖地が多い富山県
・瑞泉寺再建から始まった井波彫刻
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