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花巻電鉄の歴史

歴史は大正期に始まり、まず軌道線が1915 (大正4)年9月に花巻川口町(のちの西公園)〜湯口村(ゆぐちむら)(のちの松原)間を初開業。延伸を繰り返し、1921(大正10)年に西鉛温泉駅まで全通します。いっぽうの鉄道線は1925(大正14)年8月に西花巻〜花巻温泉間を開業させています。

経営は花巻電気、温泉軌道、盛岡電気工業、花巻温泉電気鉄道など再三にわたり変わりましたが、1941(昭和16)年に花巻電気鉄道となり、1947(昭和22)年に花巻温泉電鉄と改称。1971(昭和46)年には岩手中央バスに合併されましたが、「花巻電鉄」(通称・花電(はなでん))の名で長らく親しまれました。

花巻電鉄といえば「馬面電車」

花巻電鉄を一躍有名にしたのが、軌道線を走った縦長の車両です。軌道線は、幅員の狭い一般道を車といっしょに走らなければなりません。そのため車幅を極端に短くした独特の車両が用意されたのです。

1926(大正15)年から製造されたデハ1~5形は、車体幅が最大1600㎜で、先頭部はさらに狭くなっており、そのユニークな風貌から「馬面(うまづら)電車」や「ハモニカ電車」と呼ばれました。1360㎜の車内幅の客室にはロングシートが並んでおり、向かい合わせに座る乗客の膝がぶつかるほどの狭さでした。

このめずらしい車両を求めて全国からレールファンが訪れ、雑誌などでもその存在が取り上げられました。

鉄道線はさすがに幅の広い車両でしたが、それでも全長の短い小型車両ばかりで、いわば路面電車的であり、軌道線とさほど変わりなくどこまでも愛らしかったのです。

花巻電鉄は自動車文化にのまれて消えていった

しかし、そんなのんびりとした花巻電鉄も、モータリゼーションという時代の波にのまれてしまいます。1969(昭和44)年9月に軌道線が廃止となり、1972(昭和47)年2月には鉄道線が地元住民に惜しまれながら廃止され、全廃してしまいました。

花巻電鉄の線路は整備されつつも大切に残されている

現在、線路は剝がされ面影を失いましたが、市街地の一部にはコンクリートの橋脚などが見られます。鉄道線の専用軌道はサイクリングロードとして整備されており、往時の線路のイメージが伝わってきます。途中の一部の駅はホームだった場所がきれいに手入れされた花壇になっており、駅の面影が強く残っています。

花巻電鉄の車両は一部が動態保存されている

花巻駅近くの材木町(ざいもくちょう)公園には、宮沢賢治ゆかりの旧花巻庁舎「市民の家」とともに、「馬面電車」のデハ3形が静態保存されています。デハ3形は、唯一残った保存車両で、その独特なスタイルを今に伝える貴重な存在です。金網で囲まれていますが、上屋もあり大切に保存され、運行最終日の写真が掲げられた案内看板も設置。在りし日の活躍ぶりを今に伝えています。

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Part.1 地図で読み解く岩手の大地

・盛岡のまちを見守る名峰 岩手山はどうやってできた?
・宮沢賢治が名付けた理想の地? イーハトーヴの風景地とは
・三陸海岸のうち南部だけが リアス海岸になっている理由
・三陸沖で多発する地震と 津波発生のメカニズムを探る
・平泉の黄金文化を支えた 玉山金山はどこがすごい?
・カルスト台地に刻まれた猊鼻渓と 幽玄洞は古生代の化石の宝庫!
・ティラノサウルス類化石も発見! 国内最大の琥珀産地・久慈

などなど岩手のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 岩手を駆け抜ける鉄道網

・軌道から車両まで対策は万全! 積雪地帯を快走する東北新幹線
・一ノ関以北で客車が走り続けた 大幹線・東北本線の歴史と実力
・急勾配を克服する物流の幹線 IGRいわて銀河鉄道がすごい!
・『銀河鉄道の夜』の原風景を走る岩手軽便鉄道に始まった釜石線
・三陸縦貫鉄道を引き継ぎ誕生! 沿岸部を走る三陸鉄道リアス線
・龍ヶ森の急勾配を越えろ! 奥羽山脈を横断する花輪線

などなど岩手ならではの交通事情を網羅。

Part.3 岩手で動いた歴史の瞬間

・人々が定住し集落が生まれ 南北それぞれの文化が発達
・胆沢平野を中心に米作が進み 強大な権力も生まれる
・蝦夷のリーダー・アテルイと ヤマト王権の熾烈な争い
・安部氏から奥州藤原氏 やがて群雄割拠の戦乱へ
・前九年・後三年の役が終結し 花開いた黄金の平泉文化
・大崎氏と斯波氏の時代を経て 南部氏と伊達氏が台頭
・戊辰戦争での敗北から 紆余曲折ののち岩手県が成立

などなど、激動の岩手の歴史に興味を惹きつける。

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