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東北本線は全国で2番目に全通した

そもそも東北本線は、東海道本線に次いで全国で2番目に全通した幹線で、東海道本線が全通に約20年かかったのに対し、私鉄の日本鉄道が建設した東北本線は約10年という速さで全通しました。

日本鉄道はまず、第一線区として上野〜熊谷間を1883(明治16)年7月に開業させ、第一線区の大宮駅から分かれて白河までの第二線区、白河(しらかわ)〜仙台間の第三線区、仙台〜盛岡間の第四線区、盛岡〜青森間の第五線区が段階的に建設され1891(明治24)年9月に全通。その後、1906(明治39)年11月に国有化されました。

東北本線によって岩手は水運から鉄道の時代へ

東北本線開業前の岩手県内の交通は、北上川の水運が主役でした。しかし水運は、石巻〜盛岡間(約120㎞)の上りで8日もかかったといい、時速28㎞(当時)で走る東北本線の列車にはスピードで歯が立ちません

こうして岩手は鉄道の時代を迎えたのです。現在も蛇行する北上川に沿って東北本線が北上しており、よい対比ができます。

一ノ関駅から北上川が開いた低地(平地)に東北本線の線路が延び、世界遺産の中尊寺金色堂が高台に鎮座する平泉付近には北上川の築堤が連なります。並行する東北新幹線はトンネルで貫いており、ここは岩手を走る東北本線の印象的な光景のひとつです。

東北本線を走った客車列車

東北本線の代表的な列車に、電気機関車が引く地域輸送の客車列車がありました。鉄道開業以来の客車列車は、電車や気動車に代わられ次第に姿を消していきましたが、幹線ほど伝統的な客車が普通列車に使用され残存していました。実際、1978(昭和53)年10月ダイヤ改正まで、東北本線では上野~一ノ関間を11時間超で結ぶ客車による普通列車も運転されていたほどです。

東北本線の客車列車は電車化が進み姿を消した

長距離列車が廃止されても東北本線は客車天国でしたが、南から北へと電車化されていきました。

最後の砦となったのが一ノ関〜青森間で、1993(平成5)年に登場した701系電車へ置き換えられていきましたが、それまでは客車列車が多数運転されていました。急行などの優等列車にも使用された旧型客車はもちろん、その置き換え用に1978(昭和53)年から新製された50系客車や、団体列車や急行用に1969(昭和44)年から新製した12系客車も投入され、みちのく路を駆け抜けたのです。

10両以上を連結していた客車列車の編成も次第に短縮され、晩年は3両という短い編成で運転された列車もありましたが、それで最後まで風格があり、幹線の東北本線にふさわしい列車でした。

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Part.1 地図で読み解く岩手の大地

・盛岡のまちを見守る名峰 岩手山はどうやってできた?
・宮沢賢治が名付けた理想の地? イーハトーヴの風景地とは
・三陸海岸のうち南部だけが リアス海岸になっている理由
・三陸沖で多発する地震と 津波発生のメカニズムを探る
・平泉の黄金文化を支えた 玉山金山はどこがすごい?
・カルスト台地に刻まれた猊鼻渓と 幽玄洞は古生代の化石の宝庫!
・ティラノサウルス類化石も発見! 国内最大の琥珀産地・久慈

などなど岩手のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 岩手を駆け抜ける鉄道網

・軌道から車両まで対策は万全! 積雪地帯を快走する東北新幹線
・一ノ関以北で客車が走り続けた 大幹線・東北本線の歴史と実力
・急勾配を克服する物流の幹線 IGRいわて銀河鉄道がすごい!
・『銀河鉄道の夜』の原風景を走る岩手軽便鉄道に始まった釜石線
・三陸縦貫鉄道を引き継ぎ誕生! 沿岸部を走る三陸鉄道リアス線
・龍ヶ森の急勾配を越えろ! 奥羽山脈を横断する花輪線

などなど岩手ならではの交通事情を網羅。

Part.3 岩手で動いた歴史の瞬間

・人々が定住し集落が生まれ 南北それぞれの文化が発達
・胆沢平野を中心に米作が進み 強大な権力も生まれる
・蝦夷のリーダー・アテルイと ヤマト王権の熾烈な争い
・安部氏から奥州藤原氏 やがて群雄割拠の戦乱へ
・前九年・後三年の役が終結し 花開いた黄金の平泉文化
・大崎氏と斯波氏の時代を経て 南部氏と伊達氏が台頭
・戊辰戦争での敗北から 紆余曲折ののち岩手県が成立

などなど、激動の岩手の歴史に興味を惹きつける。

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