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東北新幹線が雪に強い理由

東北新幹線は「雪に強い」新幹線として知られていますが、それは東海道新幹線の苦い経験が教訓になっています。

東海道新幹線は、開業時に予期しなかった雪害に悩まされました。現在でも冬期は米原(まいばら)付近で雪のため徐行運転を行うなど、列車の遅延が発生しています。

そこで、新設される東北新幹線には徹底した雪対策が施されました。東北新幹線は、10年に一度の豪雪でも、自力排雪走行で正常運転が行えるように建設されているのです。

東北新幹線が雪に強いメカニズム

まず、降雪地帯では東海道新幹線のようなバラスト(砂利)の軌道をやめ、コンクリート板に枕木をとりつけた「スラブ軌道」にしました。さらに、コンクリートを降雪地帯ほど厚くし、軌道の脇の空間に貯雪スペースを設けました。

また、岩手県内の北上駅の前後約70㎞は、東海道新幹線の米原地区に匹敵する降雪地帯で、普通よりも22㎝高いスラブ軌道とし、片側で50㎝広くとった貯雪スペースのある高架橋を設けています。この軌道に、前頭部にスノープラウと呼ばれる排雪器を設けた車両が、雪をかき分けながら走行します。

車両の床下機器に雪が付着しないよう、開業時の200系電車では機器をすっぽりと覆ったボディマウント構造とし、のちの車両には厳重なカバーがとりつけられました。

東北新幹線の雪対策は駅や線路まで

駅などの分岐器(ポイント)部分には、電気温風式のヒーターによる融雪装置を備え、列車からの落雪などによる転換不良の対策として急速除雪装置(温水ジェット式)を各所に設けています。花巻トンネルなど、吹きだまりが発生する恐れがある箇所には防雪柵を設け、雪崩防止柵も設置しています。

また、北上駅付近および第2北上川橋梁付近の延長3㎞区間は、スラブ軌道が設置できずバラスト軌道になったため、散水式の消雪設備が設けられています。

なお、スラブ軌道はいわゆる盛り土には設けにくいので、東北新幹線の区間の大半は頑丈な高架橋になっています。山や丘陵はトンネルで直線的に貫いていますが、降雪にほとんど影響されないトンネル区間が多いのも雪対策にひと役買っているのです。

東北新幹線は雪のトラブルを克服して今日まで運転を続ける

雪対策は慎重に行われ、仙台〜北上間の延長約110㎞を雪対策試験線として、1979(昭和54)年より3年間、925形電気軌道総合試験車、営業用の200系電車を使って走行試験を実施しました。試験結果は大きく反映され、ここで雪に強い新幹線が完成しました。

こうして東北新幹線は、開業から約40年が経つなかこれまで冬期に目立った遅延がなく、強靱な新幹線として今日も運転を続けているのです。

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・一ノ関以北で客車が走り続けた 大幹線・東北本線の歴史と実力
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・三陸縦貫鉄道を引き継ぎ誕生! 沿岸部を走る三陸鉄道リアス線
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・安部氏から奥州藤原氏 やがて群雄割拠の戦乱へ
・前九年・後三年の役が終結し 花開いた黄金の平泉文化
・大崎氏と斯波氏の時代を経て 南部氏と伊達氏が台頭
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