岩手県内では三陸沿岸地方の被害が大きく、宮古市以南の地域では最大8.5mを超える津波高（平常潮位と実際に観測された潮位の差）を記録し、岩手県全体では58㎢もの面積が津波に飲み込まれて浸水しました。陸前高田市はとくに被害が大きく、市中心部まで津波が押し寄せ、避難所として指定されていた市役所までも全壊するほどでした。

岩手県の被害状況としては、死者4673人、行方不明者1169人、負傷者208人、全壊1万8370戸、半壊6502戸、一部損壊1万3078戸。そのほとんどが津波による被害でした。

震災後、岩手県では「東日本大震災復興基本計画」を実施。「安全の確保」（災害廃棄物の処理や海岸保全施設の復旧及び整備）、「暮らしの再建」（応急仮設住宅への入居、医療施設の再建、公立学校施設の復旧）、「なりわいの再生」（漁業や養殖業、農業、観光業の支援）と「復興に向けた3つの原則」を定め、段階的に進めてきました。

その結果、2021（令和3）年現在では、災害廃棄物の処理は完全に終わり、災害公営住宅の整備もすべて完了しています。

しかし、「なりわいの再生」に関しては、思うようには進んでいません。被災した沿岸の産地13魚市場は、2012（平成24）年までにすべてが営業を再開したものの、岩手県内魚市場の水揚量は震災前の7割程度、養殖生産量は6割程度までしか回復していません。岩手県の復興はまだ途上にあるといえるでしょう。

岩手県は2019（令和元）年から2028年までの長期的な「いわて県民計画（2019～2028）」を策定し、さらに復興を推進していくことを発表しています。

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