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【釜石の昭和時代】太平洋戦争でアメリカの標的に

釜石には製鉄所と鉱山があり、資源を自給できる貴重な軍需工場地帯でした。軍事的な重要度は極めて高く、それゆえにアメリカ軍の標的にされました。大戦末期の1945(昭和20)年、日本は空襲などで本土を直接攻撃されるようになり、アメリカの太平洋艦隊は鉄鋼や石炭鉱業が盛んな都市への艦砲射撃を計画。日本の生産力を低下させることを目的に、釧路や室蘭と並び釜石が狙われました。

7月1日にフィリピンを出たアメリカ艦隊(戦艦3隻、重巡洋艦2隻、駆逐艦9隻)は、7月14日昼の12時10分から14時19分まで、日本製鐵釜石製鉄所めがけて2565発もの砲弾を撃ち込みました。これが太平洋戦争で日本本土が初めて受けた艦砲射撃です。8月9日には、アメリカ・イギリス海軍による二度目の艦砲射撃が行われ、2781発(米軍による。英軍の砲弾数は非公開)の砲弾が放たれました。

釜石市街は砲撃によって焦土と化した

二度の艦砲射撃によって釜石製鉄所は壊滅的な打撃を受け、高炉が破壊されました。製銑、製鋼工場など9割以上が失われ、完全に機能を停止。釜石市街は全焼2930戸、死者700名近くに達し、文字どおり焦土と化しました。

岩手県内で空襲を受けた地域

岩手県内で空襲を受けた地域
総務省HPなど各種資料 を元に作成

岩手県下で空襲を受けた都市。重要な製鉄所を抱える釜石が攻撃にさらされることは予想されていたため、 釜石市内の小学生は、遠野地方に集団疎開していました。

【釜石の昭和時代】終戦後の経済成長の基盤となった鉄鋼生産

終戦後、釡石製鉄所は賠償指定工場から外されて撤去を免れ、1948(昭和23)年には高炉が復旧し、操業を再開。連合国最高司令部(GHQ)の対日占領策である過度経済力集中排除法により、1950(昭和25)年には日本製鐵は解体の指定を受け、釜石は富士製鉄釜石製鉄所として再編されました。

いっぽう、同年に朝鮮戦争が始まると、在日アメリカ軍から日本に大量の軍需物資が発注されることになり、特需景気が引き起こされました(朝鮮特需)。とくに鉄鋼生産は爆発的な伸びを見せ、釜石は経済成長の基盤を確立します。

【釜石の昭和時代】高度経済成長期の発展とその後

高度経済成長期には建設需要も高まり、釜石で働く労働者も増え、1963(昭和38)年には釜石市の人口は9万2123人とピークを迎え、東北有数の重工業都市となります。

しかし、工場の大型化に対して平地が狭かったことや、輸入原材料への転換、企業の合併合理化、オートメーションによる人員削減などにより、釡石の鉱山や高炉はその役割を終えていくのでした。

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Part.1 地図で読み解く岩手の大地

・盛岡のまちを見守る名峰 岩手山はどうやってできた?
・宮沢賢治が名付けた理想の地? イーハトーヴの風景地とは
・三陸海岸のうち南部だけが リアス海岸になっている理由
・三陸沖で多発する地震と 津波発生のメカニズムを探る
・平泉の黄金文化を支えた 玉山金山はどこがすごい?
・カルスト台地に刻まれた猊鼻渓と 幽玄洞は古生代の化石の宝庫!
・ティラノサウルス類化石も発見! 国内最大の琥珀産地・久慈

などなど岩手のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 岩手を駆け抜ける鉄道網

・軌道から車両まで対策は万全! 積雪地帯を快走する東北新幹線
・一ノ関以北で客車が走り続けた 大幹線・東北本線の歴史と実力
・急勾配を克服する物流の幹線 IGRいわて銀河鉄道がすごい!
・『銀河鉄道の夜』の原風景を走る岩手軽便鉄道に始まった釜石線
・三陸縦貫鉄道を引き継ぎ誕生! 沿岸部を走る三陸鉄道リアス線
・龍ヶ森の急勾配を越えろ! 奥羽山脈を横断する花輪線

などなど岩手ならではの交通事情を網羅。

Part.3 岩手で動いた歴史の瞬間

・人々が定住し集落が生まれ 南北それぞれの文化が発達
・胆沢平野を中心に米作が進み 強大な権力も生まれる
・蝦夷のリーダー・アテルイと ヤマト王権の熾烈な争い
・安部氏から奥州藤原氏 やがて群雄割拠の戦乱へ
・前九年・後三年の役が終結し 花開いた黄金の平泉文化
・大崎氏と斯波氏の時代を経て 南部氏と伊達氏が台頭
・戊辰戦争での敗北から 紆余曲折ののち岩手県が成立

などなど、激動の岩手の歴史に興味を惹きつける。

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