また、久慈層群玉川層からは、琥珀とともに多くの植物や動物の化石が見つかっています。とくに注目を集めているのが、2018（平成30）年6月、久慈琥珀博物館（久慈市小久慈町（こくじちょう））が運営する琥珀採掘体験場で発見されたティラノサウルス類の歯の化石です。

琥珀採掘体験場は、久慈琥珀博物館から北東に300mほど離れた場所にあります。アイスピックや移植ベラを使って、白亜紀の地層から琥珀の採掘を体験することができます。ティラノサウルス類の歯化石は、ここで採掘体験をしていた来館者が偶然発見したものでした。

この採掘体験場からは、それまでにも恐竜、カメ類、ワニ類、サメ類など20種類を超える脊椎動物の化石が約2200点も発見されています。これまで発見されたおもな化石には、ほぼ完全なアドクス（絶滅したカメ類）の甲羅、岩手県で2例目の恐竜となる鳥盤類（ちょうばんるい）の腰骨、翼竜類（よくりゅうるい）、体長20m級の大型植物食恐竜の歯、白亜紀後期の化石としてはアジア初のコリストデラ類（絶滅した水生爬虫類）などがあります。

発見されたティラノサウルス類の歯の化石は、歯の断面がD字型をしていること、舌側面中央部が隆起していることから、ティラノサウルス類の前上顎骨歯（ぜんじょうがくこつし）（上顎の先端の歯）と判明しました。約9㎜という歯の大きさから、全長は約3mと推定されている。歯の切縁（せつえん）に鋸歯（きょし）がないのはめずらしく、新種の可能性もあり、さらなる研究が待たれています。

モシリュウは、1978（昭和53）年、岩手県岩泉町の茂師で発見された日本国内初の恐竜化石です。約1億年前、中生代白亜紀前期の海に堆積していた地層から、上腕骨の化石が見つかっています。

骨の形がよく似ていることから、中国大陸で発見された「マメンチサウルス（かみなり竜の一種）」の仲間だと見られ、全長は20～25mと推定されています。

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