三陸海岸のリアス海岸は南部で見られる
リアス海岸とは、地盤の沈降または海面上昇により、起伏の多い山地が水に沈むことで生じた海岸地形のこと。三陸海岸南部の場合、最終氷期のあと、海面上昇によって海が内陸へ侵入し、尾根が岬に、谷は沈水して細長い入り江となりました。
海に突き出た部分には、波の力で大きく削られた海食崖(かいしょくがい)が発達しています。入江の奥は、山から栄養豊富な水が流入するほか、波も穏やかなため、ウニやカキの養殖業が盛んに営まれています。
三陸海岸の南部にリアス海岸が多い理由
リアス海岸はなぜ南部にばかり発達しているのでしょうか。
現在、南部の大きな湾になっている場所にはおよそ東西方向に断層が走っています。リアスの奥は断層のズレで生じた破砕帯(はさいたい)(岩がすりつぶされてぼろぼろになった場所)で岩がもろくなっているために水流に侵食されやすく、その結果、リアス海岸の元となる深い谷ができた、というわけです。
三陸海岸の北部で見られる断崖絶壁
北部では、断層が海岸線と平行に走っているため湾入が少なくなっています。そしてその背後には海成段丘(かいせいだんきゅう)が発達しています。
海成段丘の形成と特徴
海成段丘とは、かつて海底で形成された平坦面が数十万年~数万年もの時間をかけ、隆起または海水面変動で地上に現れたものです。洋野町(ひろのちょう)の大野(おおの)海成段丘では、平坦面を生かして酪農や畑作が営まれています。
三陸海岸では、北山崎(きたやまざき)、鵜ノ巣断崖(うのすだんがい)周辺で高さ200mにもなるダイナミックな海食崖が見られます。海岸には、海の侵食による奇岩や海食洞・崖が数多く存在しています。
断崖には地層をはっきりと観察できるスポットも多くあります。よく見ると、海側に傾きながら幾重にも重なった地層を肉眼で確認できます。
三陸海岸は日本で初めて恐竜化石が発掘された場所でもある
海岸線には、前期白亜紀(約1億4500万年~1億年前)の宮古層群と呼ばれる地層があります。田野畑村(たのはたむら)から宮古市にかけて点在しており、海岸でその地層を見ることができます。ここからアンモナイトなど多くの化石を産出しています。
田野畑村の南隣に位置する岩泉町(いわいずみちょう)に分布する田野畑層からは恐竜化石が発掘され、発見地の地名・茂師(もし)にちなみ、「モシリュウ」と命名されました。これは日本で初めての恐竜化石の発掘でした。
三陸地方の地形
大野海成段丘
洋野町大野周辺は、海抜約180~300mの高さに東西約10㎞にわたりなだらかな丘陵が広がっています。約80万年前の海底地形が隆起したものです。
北山崎
高さ200mの断崖が約8㎞にわたって連なっています。約1億3000万年前(中生代白亜紀)の火山活動による火山岩や溶岩が波に侵食され、断崖や海食洞などを生み出しました。
碁石海岸
大船渡市にある約6㎞の海岸線。碁石のような黒く丸い石が浜一面に広がる「碁石浜」、3つの洞門をもつ奇岩「穴通磯」、断崖絶壁の「乱曝谷」などがあります。
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・宮沢賢治が名付けた理想の地? イーハトーヴの風景地とは
・三陸海岸のうち南部だけが リアス海岸になっている理由
・三陸沖で多発する地震と 津波発生のメカニズムを探る
・平泉の黄金文化を支えた 玉山金山はどこがすごい?
・カルスト台地に刻まれた猊鼻渓と 幽玄洞は古生代の化石の宝庫!
・ティラノサウルス類化石も発見! 国内最大の琥珀産地・久慈
などなど岩手のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 岩手を駆け抜ける鉄道網
・軌道から車両まで対策は万全! 積雪地帯を快走する東北新幹線
・一ノ関以北で客車が走り続けた 大幹線・東北本線の歴史と実力
・急勾配を克服する物流の幹線 IGRいわて銀河鉄道がすごい!
・『銀河鉄道の夜』の原風景を走る岩手軽便鉄道に始まった釜石線
・三陸縦貫鉄道を引き継ぎ誕生! 沿岸部を走る三陸鉄道リアス線
・龍ヶ森の急勾配を越えろ! 奥羽山脈を横断する花輪線
などなど岩手ならではの交通事情を網羅。
Part.3 岩手で動いた歴史の瞬間
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・胆沢平野を中心に米作が進み 強大な権力も生まれる
・蝦夷のリーダー・アテルイと ヤマト王権の熾烈な争い
・安部氏から奥州藤原氏 やがて群雄割拠の戦乱へ
・前九年・後三年の役が終結し 花開いた黄金の平泉文化
・大崎氏と斯波氏の時代を経て 南部氏と伊達氏が台頭
・戊辰戦争での敗北から 紆余曲折ののち岩手県が成立
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