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黒部峡谷鉄道の歴史①:黒部専用鉄道時代

このトロッコ電車は、当初は観光列車などではなく、電源開発に伴うダムの建設資材や作業員を運ぶための鉄道として誕生したもので、当時は「黒部専用鉄道」と呼ばれていました。鉄道の敷設工事は、大正12(1923)年、黒部峡谷初の発電所となる「柳河(やながわら)原発電所」建設に先駆けて始まります。同発電所の取水ダム建設地である猫又までは約12㎞。平野がない峡谷では普通の線路よりもレール幅を狭めなければならず、電車も最小の車両が導入されるなど、かなり制限された条件下で敷設がおこなわれました。

黒部専用鉄道はダム建設用資材を送るために使われていた

ダム建設用資材は、黒部専用鉄道で宇奈月から各工事現場へと送られていました。宇奈月までの運搬をおこなっていたのは、黒部鉄道。かつての三日市駅(現在のあいの風とやま鉄道黒部駅)と黒部峡谷方面を結んでいた路線です。よって、資材はまず三日市駅で集積されるというのが決まりでした。このため、現在でもあいの風とやま鉄道黒部駅には黒部峡谷への乗換駅としてのイメージが残っており、宇奈月方面へ行くために、間違って下車する観光客もいるようです。

宇奈月駅から欅平駅を結びます。有人駅はピンクで示した4駅のみ。沿線からは多くのダムや発電所を見ることができます。

黒部峡谷鉄道の歴史②:観光客の増加から旅客鉄道へ

専用鉄道時代からもこの秘境鉄道に乗りたいという人が多く、一般客を乗せることもありましたが、断崖絶壁を走る危険と隣り合わせだったため、当時の乗車券には、「生命の保証はしない」と記入されていたといいます。昭和28(1953)年、観光客が増加し始めたことを受け、関西電力が旅客鉄道としての営業を開始。昭和46(1971)年には、黒部峡谷鉄道株式会社が独立して現在に至ります。

黒部峡谷鉄道の枕木やレールは冬期に撤去

鉄道の沿線は、積雪のため、例年12月から翌年4月までは運休となります。鐘釣(かねつり)駅上流にあるウド谷橋では特に雪崩発生の可能性が高く、橋の枕木やレールはすべて撤去されます。普段トロッコ電車が走っているトンネルがその保管場所となり、雪を防ぐための大きな鉄扉がしっかりと設けられています。春先にはまた運行再開に向けて撤去したものを元に戻さなければいけないのですが、この作業はほぼ人力。作業員延べ2000人が40日余りかけておこなう大作業です。

黒部峡谷鉄道は現在も関西電力関係者のための専用列車が走行

すっかり観光列車となった黒部峡谷鉄道ですが、実は今でも黒部川水系の電力設備を守るインフラ。現在も沿線にあるダムや発電所への資材運搬列車や、関西電力関係者のための専用列車が運行されています。宇奈月駅から終点の欅平(けやきだいら)駅までは10駅存在するのですが、有人駅は宇奈月駅・黒薙(くろなぎ)駅・鐘釣駅・欅平駅の4つだけ。つまり、一般旅客が乗降できるのもこれらの駅のみです。ほかの駅はすべて無人駅で、関西電力関係者や沿線工事関係者に利用が限定されています

2024年には黒部ルートの一般開放も!

欅平駅より先は、関西電力の発電設備の保守・工事用の輸送設備「黒部ルートが黒部川第四発電所まで延びており、もちろん関係者以外は乗車できませんが、2024年には、黒部ルートの一般開放・旅行商品化が予定されており、黒部峡谷のさらに奥へと足を踏み入れることが可能になります。

>>黒部峡谷鉄道を観光で楽しむならこちらの記事へ

黒部峡谷トロッコ電車(黒部峡谷鉄道)

住所
富山県黒部市黒部峡谷口11
交通
富山地方鉄道本線宇奈月温泉駅から徒歩5分
料金
宇奈月~欅平(片道)=大人1980円、小人(6歳以上12歳未満)990円/(障がい者本人と同伴者1名半額)

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・立山連峰との高低差4000m!「きときと」ぞろいの富山湾
・黒部ダムが大電源を生み出すまで
・崩壊を続ける立山カルデラ
・極東の氷河の南限は立山! 国内初の氷河認定とライチョウ
・神秘の光景! 魚津の蜃気楼と雨晴海岸の気嵐
・2000年前に形成された魚津埋没林
・富山の水がおいしいヒミツ
・立山の地下には「何か」がある! 活断層はあるのに地震が少ない理由
・富山湾のホタルイカはなぜ有名?

…など

Part.2 富山を駆ける充実の交通網

・北陸新幹線開業による光と影
・河川敷にある富山きときと空港
・SDGs未来都市に選定 ライトレールが象徴するまちづくり
・伏木港は神戸港に憧れた男の夢
・立山の観光ルートは1つじゃない? 一般開放が待ち遠しい黒部ルート
・マッターホルンの麓町から着想 低速電気バスEMUと宇奈月温泉
・鉄オタ集結地! 富山県は公共交通の宝庫
・V字峡谷を走るトロッコ電車

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・江戸時代は鮎だった! 駅販売で広がったます寿し
・富山県成立までの複雑な歴史/越中の英雄・佐々成政の人物像
・焼け野原と化した富山大空襲/富山の遺跡&古墳は個性派ぞろい
・放生津に存在した亡命政権
・越中の伊能忠敬 射水出身の測量家・石黒信由
・越中の黄金郷 加賀藩極秘の「越中の七かね山」
・北陸近代医療の父・黒川良安
・世界遺産は加賀藩の軍事工場 五箇山でおこなわれた塩硝づくり

…など

Part.4 富山で育まれた文化や産業

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・秀吉も称えた伝説の刀工・郷義弘
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