トップ > カルチャー >  北陸 > 富山県 >

富山空港の特徴①:滑走路が河川敷にある

この富山空港がユニークなのは、その滑走路のロケーション。富山空港の滑走路は富山県中央を流れる一級河川・神通川(じんずうがわ)の河川敷に設けられています。理由としては、河川は公共用地であるため、土地の確保が容易だったことが推測されます。また、かつてたびたび氾濫を起こしていた神通川も、この頃には改修事業を経て川の流量が安定していたことも大きいでしょう。

空港ビルは神通川の堤防の外にある!

河川敷の中には永久的な構造物は建てられないため、空港ビルは神通川の堤防の外につくられることに。空港ビルと飛行機は、高さ約5m、上部の幅約7mの堤防に隔てられてしまい、旅客ターミナル搭乗口と飛行機の乗り口を繋ぐボーディングブリッジは必然的にかなりの長さを要します

富山空港の特徴②:日本一長いボーディングブリッジ

富山空港のボーディングブリッジは、国内線と国際線をあわせて3本。空港ビルからは堤防をまたぐための固定橋が伸びており、まずこの長さが約50mあります。さらに、飛行機のドアに合わせて動かせる約39mの可動橋が接続されています。両方の橋を合わせると約89mとなり、日本一長いボーディングブリッジとして航空ファンの間では有名です。

富山空港の特徴である河川敷にはさまざまな制約が

河川敷という立地ゆえ、滑走路の南北端それぞれに橋梁があり、滑走路の延長は不可能です。また、着陸帯の広さが十分に確保できないため、計器着陸装置(着陸を試みる航空機に対し、指向性のある電波を発射し、滑走路への進入コースを指示する装置)の完全設置が困難で、冬場の大雪で視界不良が起こる場合、条件付き運航となることも。このように物理的な制約が厳しいことから、パイロットの着陸訓練習熟の場として選ばれることもあります。

富山空港は進入路指示灯も特殊

永久的構造物を河川敷内に建てられないというルールは滑走路上の設備にも適用されており、進入路指示灯なども撤去または倒伏できるようになっています。神通川の水量が増して水が滑走路に溢れてくるという万が一の場合でも、流れてきたものが引っかからないようにとの配慮です。

富山空港の特徴③:2人のマーシャラーがいる

滑走路を見ていると、飛行機を誘導しているスタッフを見かけることがありますが、これをマーシャリング、そして誘導する人をマーシャラーと呼びます。飛行機の誘導は1機を1人のマーシャラーが担当するのが原則なのですが、富山空港では風向きやゲートによっては1機を2人で誘導する場合があります。通常は滑走路(誘導路)に対して直角に駐機するのですが、富山空港では駐機場が狭いことから、斜めや水平に駐機することになります。滑走路に着陸してゲートに駐機する際、コックピットから見て正面~左右90度の範囲であれば、窓越しにマーシャラーを目視できます。しかし90度以上旋回するとマーシャラーが窓枠に隠れてしまうため、旋回した後に見える位置でもう1人マーシャラーが必要になるというわけです。2人のマーシャラーが見られるという特徴も、マニアックな航空ファンにはたまらないようです。

富山空港付近の高速道路上にある「わき見注意」の看板

ちなみに、日によって離着陸の方向が変わるのは、飛行機は風が吹いてくる方向へ向かって飛び立つためです。北から飛行機がアプローチする際、すぐそばの北陸自動車道の頭上すれすれを飛行機が通過することになります。付近の高速道路上には「わき見注意」の看板が立てられているのもこの空港ならでは。

『富山のトリセツ』好評発売中!

富山県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。富山の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。地図を片手に、思わず行って確かめてみたくなる情報満載!

Part.1 地図で読み解く富山の大地

・立山連峰との高低差4000m!「きときと」ぞろいの富山湾
・黒部ダムが大電源を生み出すまで
・崩壊を続ける立山カルデラ
・極東の氷河の南限は立山! 国内初の氷河認定とライチョウ
・神秘の光景! 魚津の蜃気楼と雨晴海岸の気嵐
・2000年前に形成された魚津埋没林
・富山の水がおいしいヒミツ
・立山の地下には「何か」がある! 活断層はあるのに地震が少ない理由
・富山湾のホタルイカはなぜ有名?

…など

Part.2 富山を駆ける充実の交通網

・北陸新幹線開業による光と影
・河川敷にある富山きときと空港
・SDGs未来都市に選定 ライトレールが象徴するまちづくり
・伏木港は神戸港に憧れた男の夢
・立山の観光ルートは1つじゃない? 一般開放が待ち遠しい黒部ルート
・マッターホルンの麓町から着想 低速電気バスEMUと宇奈月温泉
・鉄オタ集結地! 富山県は公共交通の宝庫
・V字峡谷を走るトロッコ電車

…など

Part.3 富山の歴史を深読み!

・江戸時代は鮎だった! 駅販売で広がったます寿し
・富山県成立までの複雑な歴史/越中の英雄・佐々成政の人物像
・焼け野原と化した富山大空襲/富山の遺跡&古墳は個性派ぞろい
・放生津に存在した亡命政権
・越中の伊能忠敬 射水出身の測量家・石黒信由
・越中の黄金郷 加賀藩極秘の「越中の七かね山」
・北陸近代医療の父・黒川良安
・世界遺産は加賀藩の軍事工場 五箇山でおこなわれた塩硝づくり

…など

Part.4 富山で育まれた文化や産業

・「越中おわら節」はなぜ有名?
・財政難を立て直した富山の売薬
・布教のためのテキストだった 曼荼羅から読み解く立山信仰
・秀吉も称えた伝説の刀工・郷義弘
・売薬商人は危ない橋を渡っていた? 薬の密貿易が生んだ昆布文化
・有名な創業者も多く輩出 富山県民は倹約家で働き者
・ジャポニズムの立役者・林忠正
・アニメの聖地が多い富山県
・瑞泉寺再建から始まった井波彫刻

…など

『富山のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  北陸 > 富山県 >

この記事に関連するタグ