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ヨハネス・デレーケが富山に派遣される
神通川は蛇行の部分でよく氾濫したため、明治期になっても人々はこの川に苦しめられていました。そんな中、明治24（1891）年、各河川の視察と復旧計画づくりのため、内務省のオランダ人技師ヨハネス・デレーケが富山を初めて訪れたことで転機が訪れます。神通川を見たヨハネス・デレーケは、当時の富山市長に改修工事の問題点を指摘しました。
ヨハネス・デレーケが指揮した常願寺川改修工事
ヨハネス・デレーケはその後、常願寺川改修工事で通算190日にわたって直接工事を監督・指揮したことでも知られています。ヨハネス・デレーケの指示や進言により、常願寺川は安定した河川へと姿を変えました。常願寺川改修工事がほぼ竣工すると、富山県は神通川の改修計画に着手。ヨハネス・デレーケは再度富山へ派遣され、神通川改修に関する報告書を提出しました。
ヨハネス・デレーケの提案で設けられた「馳越線」
分流路を作るというヨハネス・デレーケの提案にもとづき、明治34（1901）年、蛇行している区間の西側にまっすぐな水路を設ける工事が始まります。この新たな水路は「馳越線（はせこしせん）」と呼ばれました。馳越とは、ある水位を超えた水が堤防を越えて流れることをいい、富山県だけで使われる用語です。この工事はユニークな方法が採られ、最初に幅2mの細い溝を掘り、洪水が起こるたびにこの細い水路が迸る水の勢いで土砂を削り取られ、自然に広がるのに任せるというものでした。
「馳越線」の幅は100m以上に
ちなみに工事自体にヨハネス・デレーケは関わっておらず、ヨハネス・デレーケは川幅の全面開削を提案したといわれていますが、実際にはわずかな幅の溝が掘られたのみでした。しかし明治43（1910）年には、水路の幅は100m以上に達し、大正11（1922）年には本流となりました。現在の富山大橋から富山赤十字病院あたりまでの部分です。
神通川氾濫は富岩運河によって解決するも新たな問題が発生
馳越線によって氾濫は解決しますが、馳越線が本流となったことで、旧流路は廃川地として街の中心に横たわることになってしまいます。この問題に対応するためにつくられたのが富岩運河（ふがんうんが）です。東岩瀬から富山駅北まで5㎞の運河を開削することで、削った土砂で廃川地を埋め立てようという狙いがありました。
さらに、川の勢いに任せて馳越線をつくったことで、削れた土が土砂となって下流の河口にたまり、河口に位置する東岩瀬港の機能にも支障を来していました。そのため港と神通川は分離されますが、水深が浅く、岸壁の整備が課題に。これに対しても、運河開削で出た土砂が港の岸壁に役立てられることとなりました。
神通川氾濫の歴史から生まれた富岩運河
こうして富岩運河はつくられましたが、海と富山駅の間に高低差があるため、運河にも水位差が生じるという難点を抱えていました。このため、運河は水位差が2.5mの2段式水路として整備され、さらにその水位差を調整するために、中島閘門（なかじまこうもん）が設けられます。パナマ運河と同じように、前後のゲートを交互に開閉することで水位の異なる水面の調整を可能にしたもので、現在も国指定重要文化財として残っています。
富岩運河を望む通称「世界一美しいスタバ」
富岩運河を含む一帯は現在環水公園となり、県内外から人々を集める人気スポットとして定着しました。“世界一美しい”と称されるスターバックスの店舗があることでも知られています。
現在の神通川周辺。かつての蛇行部分は松川となりました。
スターバックスコーヒー 富山環水公園店
- 住所
- 富山県富山市湊入船町５富山富岩運河環水公園
- 交通
- JR富山駅から徒歩9分
- 料金
- ドリップコーヒーショート＝319円／スターバックスラテ（ショート）＝374円／チョコレートチャンクスコーン＝286円／
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・崩壊を続ける立山カルデラ
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Part.2 富山を駆ける充実の交通網
・北陸新幹線開業による光と影
・河川敷にある富山きときと空港
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