鹿児島臨海工業地帯による経済活性化の成果
鹿児島臨海工業地帯が完成して10年後(1988年)、鹿児島県民ひとり当たりの所得水準は全国平均の77%、全国順位は45位でした。1962(昭和37)年の所得水準が全国平均の54%、全国順位46位だったことから考えると、鹿児島県民所得向上という目的においては、短期的に大成功を収めたとはいえない結果に見えます。
しかし、工業地帯の開発は県の経済活性化の原動力になっていたことは間違いありません。
2号用地にあるパシフィックグレーンセンターなどの飼料企業群は全国屈指の食糧基地を形成。国内有数の規模を誇る鹿児島県の畜産を支える巨大コンビナートは、現在に至るまで南九州の重要な穀物供給基地となっています。
また、造成にともなって行われた港湾整備により、谷山2区に長距離フェリー「さんふらわあ」の発着所が設けられたほか、大型クルーズ客船も寄港するようになりました(いずれも現在は別の場所へ移動)。
鹿児島臨海工業地帯の企業数・従業者数ともに右肩上がり
臨海工業地帯の立地企業数は1988(昭和63)年には300、従業者数は7092人でしたが、1991(平成3)年には1196事業所、従業者数2万4764人へ成長しました。事業所数に比べて、従業者数が飛躍的に伸びていることは、事業所規模が大きくなっているからと考えられます。また、鹿児島市の製造業事業所の約18%が臨海工業地帯に集まっていることも特徴的です。
鹿児島臨海工業地帯で注目される再生可能エネルギー事業
臨海工業地帯1号用地B区として造成された「七ツ島(ななつじま)」では、近年、再生可能エネルギー事業の開発が進んでいます。2013(平成25)年、京セラ株式会社などにより鹿児島七ツ島メガソーラー発電所が完成しました。約29万枚の太陽光発電パネルが並ぶ大型太陽光発電所です。
また、2016(平成28)年には隣接する土地に七ツ島バイオマス発電所を竣工。土地面積は約6万㎡で、発電能力49MWの出力をもつ、国内トップクラスの規模を誇ります。年間発電量は一般家庭約7万7000世帯分に相当し、約20万トンの二酸化炭素削減に貢献しています。
高度経済成長期に近代化を目指して成長を続けていた工業地帯は、再生可能エネルギーによって循環型社会の構築を目指す、新しいエリアへと進化を続けています。
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Part.1 地図で読み解く鹿児島の大地
・鹿児島を筆頭に九州になぜ火山が多く一直線に並ぶ?
・大正時代に驚くべき大噴火!桜島の形成とメカニズム
・アンモナイトやクビナガリュウなど恐竜時代の化石が獅子島で続々!
・屋久島は巨大な花崗岩の塊を付加体が取り巻いている!
・超巨大火山「喜界カルデラ」に知られざる溶岩ドームが存在!
・薩摩富士・開聞岳や池田湖ほか薩摩半島南東部の火山群の歴史
・テーチ木と奄美の赤黄色土が生む日本を代表する絹織物・大島紬
…などなど鹿児島の自然のポイントを解説。
Part.2 鹿児島を駆け抜ける充実の鉄道網
・明治時代開通の鹿児島線 鹿児島~国分に始まる鉄道史
・新大阪からの直通も走る!九州新幹線鹿児島ルートの全貌
・国内屈指の大幹線として君臨・東京直通も走った鹿児島本線
・日本最長の寝台特急も走った九州東部を縦貫する日豊本線
・「おれんじ食堂」の投入など奮闘する肥薩おれんじ鉄道
・開聞岳ほか薩南の絶景を満喫!JR最南端駅もある指宿枕崎線
・県内唯一の私鉄も今や幻に・鹿児島交通枕崎線&知覧線
…などなど鹿児島の鉄道事情を解説。
Part.3 鹿児島で動いた歴史の瞬間
・鹿児島の古代史総論
・国内最古級の大規模な定住集落跡・上野原遺跡とは?
・政府と薩摩の間に起った軍事的衝突
・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
・江戸~薩摩間約1700㎞!最も遠方からの参勤交代
・鹿児島城の築城と薩摩藩独自の外城制度
・薩英戦争が薩摩藩にもたらした近代化と倒幕への方針転換
・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰
…などなど鹿児島の歴史を徹底解説。
Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化
・近代産業の礎を築いた集成館
・日本の金産出量の約9割を占める菱刈鉱山がすごい!
・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
・古代より栄えた坊津の港に代わり枕崎が遠洋漁業の拠点に!
・本土が半分がやせたシラス台地なのになぜ全国有数の農業県になれた?
…などなど鹿児島の産業と文化を丁寧に解説。
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