西南戦争と西郷隆盛が創設した私学校
鹿児島に帰郷した西郷隆盛は、1874(明治7) 年6月、旧鹿児島城内に私学校を創設します。県令・大山綱良(おおやまつなよし)らの協力を得て、鹿児島県下に136の分校が設立されました。私学校は士官養成を目的としており、入学者は士族に限られました。
この私学校の設立には、政府の方針に不平を抱く士族の暴発を防ぐ目的もあったとされます。1876(明治9)年の廃刀令や秩禄(ちつろく)処分は、旧武士階層の既得権を解体し、明治政府に不満を抱く士族が全国的に増えていました。同年には熊本県で神風連の乱、福岡県で秋月の乱、山口県で萩の乱と、士族の反乱が相次いだのです。
鹿児島では私学校党が県政に強い影響力を及ぼすようになると、政府は私学校への警戒心を強めていきます。
鹿児島県下の火薬庫から弾薬を運び出したり、私学校監視の警官を派遣したり、さらには西郷暗殺計画の噂が立つと、激高した私学校生徒が鹿児島鎮台(ちんだい)の弾薬庫を襲撃。ついに西郷隆盛を盟主とする大規模な士族反乱が起きました。これが西南戦争です。
薩摩軍には私学校兵約1万3000人をはじめ、熊本、宮崎、大分の士族など約3万人が参加。いっぽう官軍は約6万人が従軍しました。
西南戦争の終わりと西郷隆盛の最期
1877(明治10)年2月に挙兵した薩摩軍は、官軍の守る熊本城を攻めました。ですが難攻不落の熊本城を攻め落とすことはできず、包囲戦へと切り替えました。
官軍は籠城する熊本城を救援するために小倉連隊を派遣。糧道(りょうどう)を断ちたい薩摩軍は田原坂(熊本県熊本市北区)で官軍を迎え撃ったのです。
当初は薩摩軍が有利に戦闘を進めましたが、十七昼夜にわたる激闘の結果、官軍は田原坂を突破。その後も敗走続きの薩摩軍は鹿児島まで撤退し、城山の洞窟に籠城しました。
官軍に包囲されて総攻撃を受け、被弾した西郷隆盛は洞窟で切腹し、両軍ともに6000人以上の死者を出した西南戦争は同年9月24日に終結しました。
西郷隆盛は逆賊の将として官位を奪われましたが、1889(明治22)年に正三位(しょうさんみ)を追贈され、名誉回復が行われました。
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・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
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・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰
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Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化
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・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
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