目次
【鹿児島近代の歴史】西南戦争と松方財政
西郷隆盛は明治維新の立役者でしたが、政府内で意見が対立。職を辞して鹿児島に帰郷しました。すると政府に不満を抱く士族から大将に担ぎ上げられ、1877(明治10)年に挙兵して西南戦争を起こします。
この西南戦争は薩軍が敗北に終わりますが、明治政府は戦費調達のために不換紙幣を乱発し、インフレを招いてしまいます。大蔵卿(おおくらきょう)の松方正義(まつかたまさよし)は、この経済的混乱を収束しようとデフレ誘導(松方財政)を行いますが、その政策は農作物の価格の下落を招き、かえって農村を困窮に至らしめました。
こうした社会情勢によって、農村から都市部へと労働人口が流出し、資本家と労働者の階層区分が生じていきました。
【鹿児島近代の歴史】昭和恐慌と経済危機
鹿児島県民ひとりあたりの所得を全国平均と比較すると、1910(明治43)年時点では58.5%でしたが、1928(昭和3)年には34.6% にまで下落。鹿児島県民の窮乏状態がうかがえます。
さらに1930(昭和5)年には、前年にアメリカで起きた世界恐慌の影響で日本経済も危機的な状況に陥ります(昭和恐慌)。米と繭という、当時の農村の二大商品作物が半値に暴落し、農村はますます困窮していきました。
【鹿児島近代の歴史】柳条湖事件から太平洋戦争へ
やがて軍部が台頭し、1931(昭和6)年の柳条湖事件(りゅうじょうこじけん)から太平洋戦争までの「十五年戦争」に突入すると、鹿児島県域には軍の施設が多数建設され、軍都化していきました。そして鹿児島は、大戦末期に空襲で壊滅的な打撃を受け、焼け野原となってしまいます。
戦後処理により北緯30度以南の南西諸島はアメリカ軍政下に置かれましたが、1952(昭和27)年にはトカラ列島が、翌1953(昭和28)年には奄美群島が日本に復帰します。
【鹿児島近代の歴史】鹿児島は「農業県」として発展
1960(昭和35)年時点での産業別就業人口を見ると、第一次産業の就業人口は全体の60.4%を占めており、戦後の鹿児島は農業を中心に産業経済を発展させた「農業県」であることがわかります。
高度経済成長期を経て産業構造が変化しましたが、今もなお農業は鹿児島の基幹産業であり続けているのです。
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Part.1 地図で読み解く鹿児島の大地
・鹿児島を筆頭に九州になぜ火山が多く一直線に並ぶ?
・大正時代に驚くべき大噴火!桜島の形成とメカニズム
・アンモナイトやクビナガリュウなど恐竜時代の化石が獅子島で続々!
・屋久島は巨大な花崗岩の塊を付加体が取り巻いている!
・超巨大火山「喜界カルデラ」に知られざる溶岩ドームが存在!
・薩摩富士・開聞岳や池田湖ほか薩摩半島南東部の火山群の歴史
・テーチ木と奄美の赤黄色土が生む日本を代表する絹織物・大島紬
…などなど鹿児島の自然のポイントを解説。
Part.2 鹿児島を駆け抜ける充実の鉄道網
・明治時代開通の鹿児島線 鹿児島~国分に始まる鉄道史
・新大阪からの直通も走る!九州新幹線鹿児島ルートの全貌
・国内屈指の大幹線として君臨・東京直通も走った鹿児島本線
・日本最長の寝台特急も走った九州東部を縦貫する日豊本線
・「おれんじ食堂」の投入など奮闘する肥薩おれんじ鉄道
・開聞岳ほか薩南の絶景を満喫!JR最南端駅もある指宿枕崎線
・県内唯一の私鉄も今や幻に・鹿児島交通枕崎線&知覧線
…などなど鹿児島の鉄道事情を解説。
Part.3 鹿児島で動いた歴史の瞬間
・鹿児島の古代史総論
・国内最古級の大規模な定住集落跡・上野原遺跡とは?
・政府と薩摩の間に起った軍事的衝突
・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
・江戸~薩摩間約1700㎞!最も遠方からの参勤交代
・鹿児島城の築城と薩摩藩独自の外城制度
・薩英戦争が薩摩藩にもたらした近代化と倒幕への方針転換
・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰
…などなど鹿児島の歴史を徹底解説。
Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化
・近代産業の礎を築いた集成館
・日本の金産出量の約9割を占める菱刈鉱山がすごい!
・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
・古代より栄えた坊津の港に代わり枕崎が遠洋漁業の拠点に!
・本土が半分がやせたシラス台地なのになぜ全国有数の農業県になれた?
…などなど鹿児島の産業と文化を丁寧に解説。
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