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種子島の鉄砲伝来は種子島時堯が購入したのがはじまり
種子島の領主・種子島時堯(ときたか)は、漂着船のポルトガル人から2挺の鉄砲を購入します。それ以前の元寇(げんこう)の時代から「鉄炮(てつはう)」と呼ばれる火器(陶器製の炸裂弾)は存在しましたが、種子島時堯が買い求めたのはマッチロック式のマスケット銃(火縄銃)でした。
種子島時堯は家臣の篠川小四郎(ささがわこしろう)に火薬の調合を研究させ、鍛冶師の八板金兵衛(やいたきんべえ)には国産火縄銃の製作を命じました。火縄銃製作のうえで最大の難関がネジの製法で、金兵衛はポルトガル人に娘を嫁がせてネジの秘密を知り得たとの伝承が残っています。
鉄炮は戦国時代の戦術を一変させた
種子島時堯が購入した銃のうち1挺は紀伊根来寺(きいねごろじ)(和歌山県岩出市)の津田監物(つだけんもつ)に売却されました。そして監物は職人の芝辻清右衛門(しばつじせいえもん)に複製を命じ、やがて紀伊や堺(大阪府堺市)では鉄砲が大量生産されるようになり、戦国時代の戦術を一変させたのです。
キリスト教が鹿児島から全国へ伝わる
キリスト教は1549(天文18)年に宣教師フランシスコ・ザビエルによってもたらされました。ヨーロッパではルターやカルヴァンによって宗教改革が起こり、それに危機感を抱いたバチカンは、カトリック改革(対抗宗教改革)を進め、その一環としてイエズス会はキリスト教の布教に心血を注いだのです。
イエズス会の創始者のひとりであるザビエルは、ポルトガル領マラッカ(現・マレーシア)で日本人アンジロー(ヤジロー)と出会い、日本に布教の可能性を見出し、1549 (天文18)年に鹿児島に上陸。薩摩の戦国大名・島津貴久と面会し、平戸や山口を経て京にまでのぼりました。
鹿児島でキリスト教に改宗したキリシタン大名
九州各地の戦国大名は宣教師を通じてポルトガルと貿易を行うために、キリスト教に改宗する者もいました。大友宗麟(おおともそうりん)、有馬晴信(ありまはるのぶ)、大村純忠(おおむらすみただ)など多くのキリシタン大名が誕生し、彼らはヨーロッパ産の鉄砲や火薬、中国産の生糸などを輸入しました。
天下の第一人者となった織田信長は、イエズス会宣教師ルイス・フロイスに京での布教を許可し、城下に教会やセミナリオ(教会学校)やコレジオ(神学校)の建築を許しました。
大友宗麟、有馬晴信、大村純忠の3大名は、1582(天正10)年には天正遣欧少年使節(てんしょうけんおうしょうねんしせつ)をローマに派遣(1585 年に当時のローマ教皇グレゴリウス13世に謁見)しています。
キリスト教の禁止
信長死後の豊臣政権では、当初は信長時代の政策を継承しキリスト教を容認していましたが、長崎でイエズス会領が広がり、日本人が奴隷として売買されているのを知り、1587(天正15)年にバテレン追放令を発令。のち徳川政権下でも禁教令が受け継がれました。
キリスト教・鉄砲伝来ゆかりの地
①太守島津貴久・聖師ザビエル会見の地碑
日置(ひおき)市伊集院町の城山公園(宇治城跡)には島津貴久とザビエルの会見を記念する碑が建立されています。会見場所 は清水城(現・霧島市)との説もあります。
②ザビエル上陸記念碑
錦江湾に面した祇園之洲(ぎおんのす)公園(鹿児島市祇園之洲町)にあるザビエル上陸記念碑。
③ザビエル公園
鹿児島市東千石(ひがしせんごく)町のザビエル公園では、旧聖堂の一部とザビエルの胸像を見られます。
④八板金兵衛清定像
西之表(にしのおもて)市には、国産火縄銃の製造に成功した八板金兵衛の功績を称える像が立ちます。
⑤門倉岬
3人のポルトガル人の乗った中国船が漂着したとされる門倉岬(熊毛郡南種子町)。
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Part.1 地図で読み解く鹿児島の大地
・鹿児島を筆頭に九州になぜ火山が多く一直線に並ぶ?
・大正時代に驚くべき大噴火!桜島の形成とメカニズム
・アンモナイトやクビナガリュウなど恐竜時代の化石が獅子島で続々!
・屋久島は巨大な花崗岩の塊を付加体が取り巻いている!
・超巨大火山「喜界カルデラ」に知られざる溶岩ドームが存在!
・薩摩富士・開聞岳や池田湖ほか薩摩半島南東部の火山群の歴史
・テーチ木と奄美の赤黄色土が生む日本を代表する絹織物・大島紬
…などなど鹿児島の自然のポイントを解説。
Part.2 鹿児島を駆け抜ける充実の鉄道網
・明治時代開通の鹿児島線 鹿児島~国分に始まる鉄道史
・新大阪からの直通も走る!九州新幹線鹿児島ルートの全貌
・国内屈指の大幹線として君臨・東京直通も走った鹿児島本線
・日本最長の寝台特急も走った九州東部を縦貫する日豊本線
・「おれんじ食堂」の投入など奮闘する肥薩おれんじ鉄道
・開聞岳ほか薩南の絶景を満喫!JR最南端駅もある指宿枕崎線
・県内唯一の私鉄も今や幻に・鹿児島交通枕崎線&知覧線
…などなど鹿児島の鉄道事情を解説。
Part.3 鹿児島で動いた歴史の瞬間
・鹿児島の古代史総論
・国内最古級の大規模な定住集落跡・上野原遺跡とは?
・政府と薩摩の間に起った軍事的衝突
・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
・江戸~薩摩間約1700㎞!最も遠方からの参勤交代
・鹿児島城の築城と薩摩藩独自の外城制度
・薩英戦争が薩摩藩にもたらした近代化と倒幕への方針転換
・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰
…などなど鹿児島の歴史を徹底解説。
Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化
・近代産業の礎を築いた集成館
・日本の金産出量の約9割を占める菱刈鉱山がすごい!
・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
・古代より栄えた坊津の港に代わり枕崎が遠洋漁業の拠点に!
・本土が半分がやせたシラス台地なのになぜ全国有数の農業県になれた?
…などなど鹿児島の産業と文化を丁寧に解説。
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