上野原遺跡は国内最古級の遺跡だった!?
集落の住居数もさることながら、集落跡の面積は1万5000㎡ほどと広く、発見当時には「国内最古級で、最大規模の定住集落跡」とされました。
同時期の遺跡としては加栗山遺跡(かくりやまいせき:鹿児島市川上町)や前原遺跡(まえばるいせき:鹿児島市福山町)などが知られていましたが、一般的には縄文文化は三内丸山遺跡(さんないまるやまいせき:青森県青森市) に代表されるように、西日本より東日本で繁栄していたと考えられていました。
いわば「東高西低(とうこうせいてい)」が定説とされていたわけですが、縄文時代の初期においては上野原遺跡の発見によりそれが覆されたことになります。
旧石器~縄文時代のおもな遺跡
縄文時代早期前葉の竪穴住居が見つかっている遺跡は、上野原遺跡をはじめ、加栗山遺跡16軒、前原遺跡25 軒、定塚(じょうづか)遺跡(曽於市)97軒など県内18カ所あります。
上野原遺跡からわかる縄文時代の食生活が興味深い
遺跡内の集石遺構は径30cm前後のものから160cm×120cmほどの大きなものまであり、下部に掘り込みのあるものも確認されています。これらは調理施設であり、石蒸し料理の跡と推定されています。
連結土坑も同様に調理施設ですが、こちらはふたつの坑(焚き口と煙出し)をトンネルで連結しているのが特徴(煙道(えんどう)付き炉穴(ろあな))。連結部分には焼土(しょうど)や木炭が散らばった硬化面が見られ、狩猟した獲物の肉を保存食として加工するための燻製施設であると考えられています。
上野原遺跡から出土した2つの壺型土器
また、約7500年前(縄文時代早期後葉) の地層からは数多くの遺物が発見されていますが、なかでも特筆しておきたいのが、2個の壺型の平栫(ひらがこい)式土器です。この2個の土器は、ひとつの穴のなかに埋められており、完全な形で出土しました。
その周囲には、壺型土器や鉢形土器を埋めた土器埋納遺構、石斧(せきふ)をまとめて埋めた石斧埋納遺構が見つかりました。さらにその外側には、日常使用の石器や土器が置かれた状態で出土しており、こうした特殊な埋設状況から、この地が祭祀(さいし)にかかわるものであったと考えられています。
ここで生活していた縄文人たちの精神性をあらわすものであり、南九州の縄文文化が精神的にも成熟していたことがうかがいしれます。
上野原縄文の森
- 住所
- 鹿児島県霧島市国分上野原縄文の森1-1
- 交通
- JR日豊本線国分駅からタクシーで20分
- 料金
- 入園料=無料/展示館=大人310円、高・大学生210円、小・中学生150円/アクセサリー作り=200円/(障がい者手帳持参で展示館入館無料、県内在住の70歳以上は証明書持参で展示館入館料無料)
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・鹿児島を筆頭に九州になぜ火山が多く一直線に並ぶ?
・大正時代に驚くべき大噴火!桜島の形成とメカニズム
・アンモナイトやクビナガリュウなど恐竜時代の化石が獅子島で続々!
・屋久島は巨大な花崗岩の塊を付加体が取り巻いている!
・超巨大火山「喜界カルデラ」に知られざる溶岩ドームが存在!
・薩摩富士・開聞岳や池田湖ほか薩摩半島南東部の火山群の歴史
・テーチ木と奄美の赤黄色土が生む日本を代表する絹織物・大島紬
…などなど鹿児島の自然のポイントを解説。
Part.2 鹿児島を駆け抜ける充実の鉄道網
・明治時代開通の鹿児島線 鹿児島~国分に始まる鉄道史
・新大阪からの直通も走る!九州新幹線鹿児島ルートの全貌
・国内屈指の大幹線として君臨・東京直通も走った鹿児島本線
・日本最長の寝台特急も走った九州東部を縦貫する日豊本線
・「おれんじ食堂」の投入など奮闘する肥薩おれんじ鉄道
・開聞岳ほか薩南の絶景を満喫!JR最南端駅もある指宿枕崎線
・県内唯一の私鉄も今や幻に・鹿児島交通枕崎線&知覧線
…などなど鹿児島の鉄道事情を解説。
Part.3 鹿児島で動いた歴史の瞬間
・鹿児島の古代史総論
・国内最古級の大規模な定住集落跡・上野原遺跡とは?
・政府と薩摩の間に起った軍事的衝突
・日本の南の玄関口・鹿児島に鉄砲やキリスト教が伝来
・九州統一を目指す島津氏VS九州攻めに乗り出した豊臣秀吉
・江戸~薩摩間約1700㎞!最も遠方からの参勤交代
・鹿児島城の築城と薩摩藩独自の外城制度
・薩英戦争が薩摩藩にもたらした近代化と倒幕への方針転換
・戦後アメリカの統治下となった奄美群島が日本復帰
…などなど鹿児島の歴史を徹底解説。
Part.4 鹿児島で育まれた産業や文化
・近代産業の礎を築いた集成館
・日本の金産出量の約9割を占める菱刈鉱山がすごい!
・かつては海軍の航空基地・鹿児島空港開港の歴史
・志布志湾に浮かぶ人工島にある志布志国家石油備蓄基地とは?
・鹿児島臨海工業地帯の造成の変遷をたどる
・ロケット打ち上げ施設は国内唯一・日本で宇宙に一番近い県
・古代より栄えた坊津の港に代わり枕崎が遠洋漁業の拠点に!
・本土が半分がやせたシラス台地なのになぜ全国有数の農業県になれた?
…などなど鹿児島の産業と文化を丁寧に解説。
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