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【北海道の所得】猿払村民の所得を押し上げたホタテ漁

猿払村(さるふつむら)は、オホーツク海に面した日本最北の村で、人口はわずか2800人ほど。そんな小さな村ながら、東京の港区や千代田区、兵庫の芦屋市などといったセレブな自治体と同等のレベルを誇ります。

この高所得の源は漁業です。とりわけホタテ漁が主要産業となっていて、村の漁業生産額の約90%を占めます。ホタテ漁の管理などは同村漁協が行いますが、その会員数は約240名(平成28年度末)。一人当たりの売上高は約4500万円にものぼります。ホタテの加工工場などの産業も好調で、高級食材でもある貝柱は海外にも輸出。漁業が村民の生活を支えています。

ですが、昭和40年代の猿払村は炭鉱が次々と閉山し、漁獲高も頭打ちとなり、「貧乏見たけりゃ猿払へいきな」と揶揄(やゆ)されるほど貧しい漁村でした。そこで試みられたのが日本初となるホタテの稚貝放流です。これが奏功してホタテの水揚げ高が安定。村民の所得を押し上げました。

【北海道の所得】カギは産業の転換

いっぽう、所得最下位は上砂川町。かつて道内で最大クラスの三井砂川炭鉱があり、炭鉱の町として栄えました。しかし、1987(昭和62)年に閉山すると、代わりとなる産業は育ちませんでした。炭鉱跡地を地下無重力実験センターとして宇宙開発などに力を注ぎましたが、これも2003(平成15)年に閉鎖。今は実験施設の跡地だけが残されています。

このように、北海道の所得は、各エリアの産業を時代に合わせて転換できるかどうかがカギを握っています。

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地球規模のプレート運動が北海道の大地と山々をつくる!
むかわ町穂別で発見された新種恐竜カムイサウルスとは!?
国内最大の湿地・釧路湿原が3000年以上も陸地化しない謎 ほか

Part.2 北海道を駆け抜ける鉄道網
日本初の軌道交通は茅沼を走り手宮~札幌に道内初の本格鉄道
ゴムタイヤで性能は上々 札幌市営地下鉄3路線の実力
樺太の鉄道と稚泊連絡船 最北の鉄路・宗谷本線 ほか

Part.3 北海道で動いた歴史の瞬間
4000年前の縄文時代に築かれたストーンサークルとは何か?
海を駆け巡る北の民アイヌ 樺太進出を狙い元と戦う!
松前藩が誕生し支配体制が確立! 南下を狙うロシアとのにらみあい
土方歳三の戦死で戊辰戦争終結! 旧幕府軍が描いた蝦夷共和国とは ほか

Part.4 北海道で育まれた産業や文化
150年で200万都市へ成長! 道都・札幌が大発展した理由とは?
北海道らしい大規模農業は開拓時代に黒田清隆が提唱した!
サッポロビールにニッカウヰスキー 北の大地で銘酒が誕生するまで ほか

<コラム>
データで分かる全189市区町村 人口、所得、農業・漁業
初三郎が描いた北海道の鳥瞰図
過酷な気候と労働が生んだ 小林多喜二のプロレタリア文学

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