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タウシュベツ川橋梁が見えた士幌線の歴史と当時の様子
開業は1925(大正14)年の帯広~士幌間に始まり、1939(昭和14)年に全通。本来は、さらに上川までを結ぶ予定でしたが計画は中止されています。沿線からは木材が多く搬出され、これを運ぶための貨物列車も蒸気機関車により運転されました。
タウシュベツ川橋梁とはどんな橋?
沿線にある糠平湖は発電用のダム湖として建設され、これにより清水谷(しみずだに)~幌加(ほろか)間が1955(昭和30)年に路線変更され、旧線は糠平湖に沈みました。この旧線に架けられていたのが「タウシュベツ川橋梁」です。
コンクリート造りの全長130mのアーチ橋で、古代ローマ時代の水道橋を思わせるような美しい鉄道橋です。糠平湖の水量が多い夏は湖底に沈みますが、渇水期の冬から春にかけて姿を現します。季節によって見え隠れすることから「幻の橋」とも呼ばれています。
タウシュベツ川橋梁の現在の姿
アーチの直径は10mで、それが11個連なる姿は壮大かつ神秘的。糠平湖の水量によりアーチ橋の姿は変化し、放流を終えた直後は全容を現しますが、水を湛えた湖にアーチが映える姿も実にロマンチックです。
湖の水位はダムの放水によって変化しますが、それは毎年異なります。橋は、おおむねダムの水位が低くなる1月頃から姿を現し、沈み始めるのは6月。8~10月頃には湖底に沈みます。その年の雨量などにより放水の時期が決まるので、夏でも放水があればアーチ橋が姿を現すこともあります。
士幌線には、タウシュベツ川橋梁以外にも多数のアーチ橋が残り、「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」として準鉄道記念物に指定されています。
タウシュベツ川橋梁を見学するには
現在、タウシュベツ川橋梁へいくことができる国道273号からの林道は許可車両以外通行禁止になっており、見学は 「NPO法人ひがし大雪自然ガイドセンター」の有料ツアーを利用。 ぬかびら源泉郷から旭川方面へ8㎞のタウシュベツ展望台から眺めることができます。または、十勝西部森林管理署の許可証をもらって自家用車でいきます。このいずれかの方法になります。
タウシュベツ展望台は国道沿いにありますが、橋梁まで 750mと距離があります。有料ツアーは橋梁に近づけ、ゆったりと見学ができるのでおすすめです。
ひがし大雪自然ガイドセンター
- 住所
- 北海道河東郡上士幌町ぬかびら源泉郷北区44-3糠平温泉文化ホール
- 交通
- JR根室本線帯広駅から十勝バスぬかびらスキー場前行きで1時間40分、ぬかびら中央公園前下車すぐ
- 料金
- 旧国鉄士幌線アーチ橋ツアー=3150円(1名の参加でほかに参加者がいない場合は4000円)/
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