かつて、函館～札幌間の列車は函館本線を経由する「小樽回り｣、函館・室蘭本線、千歳線を経由する「千歳回り」があり、山岳路線である小樽回りが「山線」、海岸沿いの千歳回りが「海線」と呼ばれています。

北海道の鉄道は山線から始まり、その歴史は古く、明治期より多くの列車が山線を経由していました。海線の全通は山線よりもずっと遅い1928（昭和3）年。走行距離は山線より約30㎞も遠回りになりますが、勾配が緩く、線形のよい海線が次第に多く利用されるようになりました。

いずれも、本州とは青函トンネル開通以前は青函航路（青函連絡船）で結ばれ、貨物列車の貨車は可動橋から車両甲板に載せられ航送されました。函館駅は連絡船に接続する優等列車と乗客、多数の貨車で大いに賑わっていました。

1961（昭和36）年10月のダイヤ改正では北海道で初の特急列車、函館～旭川間の「おおぞら」がキハ80系気動車で運転を開始しましたが、記念すべきこの列車が海線経由でした。それまでの山線に対し、室蘭、苫小牧の産業都市や、洞爺湖、登別といった観光地も通り好評を博しました｡

｢おおぞら」の運転開始から、海線はたちまち注目されるようになり、その後に登場した函館～網走間の「おおとり｣、函館～旭川間の「北斗」もすべて海線経由で、道央へ至るメインルートは海線と山線の立場が逆転したのです。

民営化後は、函館～札幌間を車体傾斜装置により時速130㎞で運転される特急「スーパー北斗」が新型のキハ281系気動車でデビューし、運転時間が短縮され利便性が飛躍的に向上。さらに、青函トンネルの開通で、本州～北海道間に貨物列車のみならず、寝台特急「北斗星｣ ｢カシオペア」（上野～札幌間）｢トワイライトエクスプレス｣（大阪～札幌間）が続々と運転開始。それまでの常識をくつがえす、Ａ寝台「ロイヤル」や「スイート｣、フランス料理も味わえる食堂車が連結され、多くの人に愛されました。

寝台特急は近年廃止されましたが、キハ281・261系気動車による特急「北斗」は現在も主力列車であり、貨物列車は海峡線と接続する五稜郭～札幌貨物ターミナル間で大活躍し、石勝線、根室本線経由で帯広、釧路方面との直通運転も行っています。

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