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下野国における最初の県は「真岡県」?
新政府は「府藩県三治制」として、帰順した藩についてはそれまで通りの領国支配を許し、一方で旧幕府方から没収した土地には府・県を置きました。この制度に基づき真岡代官所の領地は新たに「真岡県」とされ、鍋島が知県事に任命されます。これが下野国における最初の県とされますが、実在を示す書類や県庁跡などはなく、実体としての「真岡県」はなかったとも指摘されています。
廃藩置県以前の栃木:「日光県」の誕生
そのうえで1869(明治2)年2月、「日光県」が誕生しました。真岡県に旧日光山領を加え、さらに旧旗本領なども合わせた日光県は、およそ26万石に及ぶ大規模な県となります。県庁は、当初は宇都宮城内に仮役所が設けられ、次いで支配地の中央に位置するということで日光街道の石橋宿にある開雲寺に移転。最終的には日光県の発足に合わせて、日光に県庁が置かれます。
廃藩置県が実施され、9つの県が新たに設置
その後、全国の藩が土地と領民を朝廷に返す版籍奉還が行われ、下野諸藩の領地は政府の管理下に置かれます。1871(明治4)年、ついに廃藩置県が実施され、江戸時代以来の藩制は終わりを告げました。これにより下野国には、日光県に加え、吹上県、黒羽(くろばね)県、茂木(もてぎ)県、壬生(みぶ)県、佐野県、足利(あしかが)県、大田原(おおたわら)県、烏山(からすやま)県、宇都宮県の9つの県が新たに設置されました。日光山領や幕府直轄領は日光県の管轄になっていましたが、ほかにも下野国内に本庁のない他国の藩の飛地領などが数多くあり、それらの数は20県にも及びます。江戸時代、下野国がいかに分割されていたかがよくわかります。
2回の廃藩置県ののち「栃木県」が誕生
最初の廃藩置県からわずか4か月後、明治政府は2回目の廃藩置県を実施。下野国は、「栃木県」と「宇都宮県」の2つの県に整理統合されます。
さらに1873(明治6)年には宇都宮県が廃されて栃木県に編入、現在に近い栃木県が誕生しました。なお、この段階では旧館林県の山田・新田(にった)・邑楽(おうら)3郡が栃木県の県域に含まれていました。このため県庁は、県域の中央に当たり、舟運の基点として栄えていた栃木町に置かれました。
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