目次
足利学校の発端となったものとは?
足利学校の創始については、奈良時代の国学の遺制説、平安時代の小野篁(おのたかむら)創建説などさまざまな説がありますが、いずれにしても源姓足利氏が大きく関わった学問施設であることは間違いありません。足利の古刹・鑁阿寺(ばんなじ)に残された古文書によれば、この寺を氏寺として創建した足利氏2代義兼(よしかね)の意を受け、3代義氏(よしうじ)の時代には鑁阿寺において仏教の経典とともに外典(げてん)(経典ではない書籍)である『周易註疏(しゅうえきちゅうそ)』の講読が定着していたといいます。しかもそれは、足利荘の管理経営をつかさどる公文所(くもんじょ)が公式行事として実施したものでした。こうした講読が慣例化したことが、足利学校の発端となったのではないかと考えられています。
足利学校は室町時代に教育機関として大きく発展
足利学校が教育機関として大きく発展したのは、室町時代の中頃、関東管領である上杉憲実の保護を受けたことによります。
上杉憲実は一時衰退していた足利学校を再興し、鎌倉・円覚寺の僧であった快元(かいげん)をこの地に招き、学校長に当たる庠主(しょうしゅ)としました。1439(永享11)年には、『尚書正義(しょうしょせいぎ)』『礼記(らいき)正義』『附釈音毛詩(ふしゃくおんもうし)註疏』『附釈音春秋左伝(しゅんじゅうさでん)註疏』と、儒教で重視する五経のうちの4つの注釈書を寄進し、足利学校における学問の振興に務めます。なお、上杉憲実の子の上杉憲忠(のりただ)も父の遺志を継いで五経のうち残りの『周易註疏』を、孫である上杉憲房(のりふさ)も『後漢書』などを寄進しています。そして、1467(応仁元)年、足利学校は上杉家家臣である長尾景人(かげひと)によって、現在の場所に移築されました。
足利学校の名声は海外にも伝えられた
足利学校が最も栄え、その名声が天下にとどろいたのは、戦国の世の真っただ中でした。この時期、足利学校は第7世庠主九華(きゅうか)の時代で、相模の北条氏や甲斐の武田氏の保護を受け、「生徒蓋(けだ)し三千」と称されるほどの興隆を誇ります。その名声は日本を訪れた外国人宣教師などによって、海外にまで伝えられました。たとえばフランシスコ・ザビエルは足利学校について、「坂東の学院あり。日本国中最も大にして最も有名なり」と書簡に記し、ルイス・フロイスはその著書『日本史』において、「すべての(大学の)中で最も主要な足利の大学」と書いているほどです。
足利学校が戦国時代に栄えた理由
この時代に足利学校が大いに栄えたのは、戦国の武将たちが生きぬくために、軍法や戦陣における占筮(せんぜい)などに卓越した軍師を求めたためです。足利学校で易学や兵学、医学を修めた学徒たちは、まさにこうした軍師の役割にぴったりだったのです。
足利学校周辺
足利学校の現在
この後、江戸時代の終わりとともに、教育機関としての役割を終えた足利学校ですが、国の史跡として保存されることとなり、1990(平成2)年には建物や庭園を江戸時代中期の姿に復原。往時の様子を今に伝えています。
史跡足利学校
- 住所
- 栃木県足利市昌平町2338
- 交通
- JR両毛線足利駅から徒歩10分
- 料金
- 大人480円、高校生240円、小・中学生(市外)120円(障がい者手帳持参で無料、20名以上の団体は割引あり)
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