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石川の海の特徴

日本海に面した県は他にもありますが、石川県の海は特に豊かな環境といえます。まずは、暖流の対馬海流と寒流のリマン海流が交わる沖合では、暖水性と冷水性の魚類がどちらも回遊するという点です。

さらに、水深300mより深い海域には「日本海固有水」と呼ばれる水の塊が横たわります。その水温は水深300m付近で1~2℃。太平洋岸では水深1000mでも5℃という水温を考えると、日本海固有水の冷たさが際立ちます。この冷たさゆえに、清浄かつ栄養塩が豊富という特徴があり、この水のおかげで底魚類が多く生息します。

石川の海が好漁場である理由

雨量が多いことも、好漁場の要因です。白山をはじめ、里山の豊富な栄養分を含んだ雪解け水や雨水が河川から海へと流れ込むため、エサとなる小魚やプランクトンが多くなり、おいしい魚が育まれます。七尾湾がある内浦も同様に、里山や立山連峰からのミネラル豊富な地下水が流れ込むという恩恵を受けています。

波が比較的穏やかかつ急深な地形であるため、回遊魚が岸の近くまでやってきます。特に、閉鎖性海域である七尾湾は、天然の生簀といわれるほど豊かな生態系が広がるだけでなく、穏やかな環境を生かして、カキ養殖やナマコ漁が営まれてきました。

このように、石川県は異なる特性の海域に恵まれているため、多種多様な魚介類が獲れるというわけなのです。

石川県の主な港・漁港と海域

石川県の主な港・漁港と海域
図版はJFいしかわHP「海域と漁業」をもとに作成

海域の年間水温は10℃~25℃(七尾港では8℃~30℃)。暖・寒流両方の魚種が来遊します。海流が能登半島にぶつかって渦流が発生しやすい七尾湾付近では、回遊魚が滞留します。

漁獲量の多い魚

マイワシ(12173.1トン)
冬の季節風が強い寒冷期に増加し、温暖期に減少するといわれます。

フクラギ(4383トン)
0・5〜1・5㎏のブリの幼魚を指します。成長したブリよりさっぱりした味。

マサバ(3470.8トン)
3月頃に漁獲高が多くなりますが、1990年代中頃以降は減少向が続きます。

出典:JFいしかわ/2016年の主要10港の水揚量に基づく

石川県民の「じわもん」と鮮度のこだわり

魚はただ「じわもん」であれば良い、というわけではなく、鮮度へのこだわりも強いです。交通手段や冷凍・冷蔵技術が発達し、昨今では中央卸売市場などに集められてから流通するのが主流ですが、北陸では未だに産地市場で競りにかけられる魚介類が多く、朝獲れの魚を夜に食べるのが当たり前です。

金沢市中央卸売市場」では、早朝のセリに加え、朝セリをおこなっており、地元の新鮮な海の幸を当日の午前中に届けるようにしています。金沢港に隣接する「かなざわ総合市場」でも、次々と水揚げされる海の幸の受け入れ体制を朝晩で整えているのは、効率より鮮度を重要視するからです。

石川県民は寿司への愛がすごい!

家計調査のすし(外食)消費額においても、金沢市が全国で1位に輝きます。競馬場内でも本格的な寿司が食べられるのは、全国で金沢だけでしょう。人口に対する回転寿司の店数(集積度)も1位と、寿司への愛はすさまじいものがあります。

日本初の回転寿司店が誕生したのは大阪ですが、回転寿司がこれほどまでに普及した背景には、金沢市に本社を置く「石野製作所」が大きな役割をはたしました。今ではベルトコンベアのある光景は当たり前となっていますが、その元祖は、同社が昭和49(1974)年に発明した「自動給茶装置付寿司コンベア機」です。以降、次々と新しいコンベア機を生み出し、約60%の全国シェアを誇るトップメーカーとなりましたが、実は石川県としてもほぼ100%の全国シェアを誇っています。つまり、石野製作所だけでなく、石川県全体で寿司業界に貢献し続けているということなのです。

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Part.1 地図で読み解く石川の大地

・石川県は天気予報が難しい?能登と加賀の地形と天気
・伊能忠敬を苦しめた外浦・内浦
・珠洲岬はなぜパワースポット?
・霊峰白山と「しらやまさん」
・金沢は街そのものが博物館
・能登の歴史的遺産「千枚田」
・金沢の用水が果たした役割
・坂を上ると世界が変わる?魔性が宿る金沢の坂
・市内に25ヵ所以上の石切り場が存在!小松は日本の宝玉の産地

Part.2 石川を走る交通網のアレコレ

・開業後、石川はどう変わったか?北陸新幹線のココがすごい!
・活発化する海の玄関口、金沢港
・官民共用で発展する小松飛行場
・路面電車「青電車」が消えた理由
・鉄道交通の要「金沢駅」の誕生秘話
・粟崎へ人々を運んだ浅野川電鉄
・石川の伝統工芸が随所にあしらわれた、能登を走る2つの観光列車
・石川県唯一の私鉄、北陸鉄道の歴史をふりかえる

Part.3 石川の歴史を深読み!

・実は3代利常が名君だった!
・前田家の運命を決めた末森城
・利家の妻が有名なのはなぜ?賢妻としてまつが残した功績
・地名の由来はお坊さん?金沢モダンを象徴した香林坊
・縁結びの聖地、恋路海岸に伝わる悲恋伝説
・城郭建築の美を感じる金沢城
・芭蕉や与謝野晶子が愛した加賀四湯
・江戸時代から続く近江町市場
・日本在来馬「能登馬」とは?
・「小京都」と呼ばれたくない!金沢で受け継がれる武家文化
・那谷寺は胎内くぐりの聖地だった
・平家の末裔と2つの時国家
・倶利伽羅峠と安宅関で辿る義経の悲劇
・有名古墳&遺跡はココに注目

…etc.

Part.4 石川で育まれた文化や産業

・六の数字に込められた意味とは?日本三名園「兼六園」は理想の庭
・人間国宝の数が日本一!石川県に息づく伝統工芸の土壌
・古九谷に込めた前田家の対抗心
・あの国宝は実は下絵だった!? 等伯の最高傑作『松林図屏風』
・三文豪が愛した犀川と浅野川
・大伴家持の能登巡行と万葉集
・偉人を輩出した第四高等学校
・祭りのない金沢、祭り天国能登
・和倉温泉と日本一の宿「加賀屋」
・県民の寿司愛と豊富な海の幸
・北前船で発展した大野醤油

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