白山の周辺に残る地層
白山の周辺には、恐竜が生きていた時代の手取層群が広く分布します。白山への登山道沿いでも見られる礫岩層には、丸い石が含まれていることがあり、本来はほとんど石英の粒だけでできた硬い石がここまで丸くなっているのは、長い距離を川の流れによって運ばれてきたからだと想像できます。
このような石の元となる岩ができる環境は日本では考えにくく、地層の時代も考えると、この石は、日本海がまだなかった時代に、大陸の奥地から河川によって浸食、運搬、堆積したことを意味します。
つまりこれらの石は、かつて日本が大陸とくっついていたことの証明なのです。
白山の豊かな自然と産業の発展
美しい高山植物の宝庫として知られ、ハクサンイチゲやハクサンコザクラなど、標準和名に「ハクサン」を冠する高山植物もたくさんあります。高山帯を有する日本の山岳のなかでは最も西に位置しており、白山を日本国内分布の西限または南限とする高山植物が多いのです。
また、日本有数のブナ原生林があり、ツキノワグマやニホンカモシカなどの動物たちが多く生息しています。
冬は日本海の水分を大量に含んだ季節風を受け続け、山麓は豪雪地。このため、周辺地域では生活や交通に大きな制約を受けながら、製炭・狩猟・焼畑・養蚕などかつての生業が発展しました。
白山に降った雪は春から夏にかけて解け出し、県下最大の一級河川である手取川に注ぎます。農業用水や発電用水、飲料水として利用され、流域住民の生活に欠かせない水源です。
麓の人々は、「白山の水をいただく」という感覚をもち、山を仰いでは感謝の祈りを捧げてきました。白山を源とした手取川の水が長い年月をかけて地中を流れ、伏流水として湧き出し、酒づくりの発展にも貢献しています。
白山に建立された白山比咩神社とは
白山を語るうえで、白山比咩神社(しらやまひめじんじゃ)の存在は欠かせません。全国に3000以上ある白山神社の総本宮で、「しらやまさん」の名で親しまれています。
養老元(717)年、越前の僧であった泰澄(たいちょう)が開山し、翌年には山頂に奥宮を祀ったのです。以来、「白き神々の座」といわれた白山は信仰の山として広く知られるようになり、麓の加賀・越前・美濃からは禅定道(ぜんじょうどう)と呼ばれた白山山頂へつながる登山道が3つ作られました。
山頂を極楽浄土と見立てた「生まれ清まる」の願いから、魂が新たに生まれる場所として、還暦や成人など人生の節目に登山するという慣習も生まれたようです。
日本海から仰ぎ見ることができた白山は、航行する船にとっての指標でもあり、航海者からも崇拝されました。
白山の禅定道と三馬場
修行登山路=禅定道として発展。登拝の拠点は、馬をつないでおいた場所、または馬がそれ以上進めない神域への入口であったために馬場と呼ばれたという説があります。
白山に祀られる祭神と由来
もともとは山そのものが御神体でしたが、国生みをおこなったとされる伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなみのみこと)とともに、菊理媛尊(くくりひめのみこと)(白山比咩大神(しらやまひめのおおかみ))が祀られるようになりました。
この菊理媛尊は、伊弉諾尊と伊弉冉尊のいさかいをとりもつと伝えられ、結びの神として崇敬されています。
白山比咩神社の比咩は、菊理媛尊の名前に由来し、白山の祭神となったのです。
白山は活火山でもある
白山は活火山であり、過去2000年の間には10回ほど噴火が観測されています。
最後の噴火は万治2(1659)年で、細長く、繊維状になったマグマが降ったようですが、そこまで大きな被害にはならなかったようです。
しかし、今後も火山活動を再開する可能性があるため、登山者は活火山としての危険性を忘れてはなりません。
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