秩父鉄道の貨物専用線
三ヶ尻(みかじり)線と呼ばれる貨物専用線も1979(昭和54)年10月に開業。上越新幹線建設による熊谷駅の貨物ヤード廃止にともない熊谷貨物ターミナルが完成。同所と武川(たけかわ)駅を連絡し、途中に貨物専用の三ヶ尻駅を開設したものです。これにより利便性が高まり、2020(令和2)年春現在、熊谷貨物ターミナル〜武州原谷(ぶしゅうはらや)(貨物駅)〜影森間で石灰石輸送の貨物列車が運転されています。
石灰石は影森駅に近い三輪(みのわ) 鉱山で採掘され、三ヶ尻駅隣接の太平洋セメント熊谷工場に運び込まれます。群馬県叶山(かのうやま)鉱山からは、総延長23㎞というベルトコンベアを使って石灰石が秩父太平洋セメント秩父工場に運ばれ、さらに熊谷工場に貨物列車で輸送されてセメントの原料となっています。貨物列車は1編成あたり20両のホッパ車と呼ばれる専用貨車が使用され、重量は約1000トンと本格的です。
しかし、輸送貨物量の減少や設備老朽化のため、2020(令和2)年9月末で熊谷貨物ターミナル〜三ヶ尻駅区間は廃止されています(武川〜三ヶ尻区間は存続予定)。
秩父鉄道の旅客列車
ところで、秩父鉄道は旅客列車も華やかです。通勤通学輸送はもちろん、観光輸送も活発。「秩父路」はクロスシートが使用された急行列車で、車両は旧・西武鉄道の新101系。平日はビジネス、休日は観光客に親しまれています。
なお、観光シーズンにより愛称名は「開運」「ロウバイ」「さくら」「芝桜」「そばまつり」「秩父夜祭」などに変更されています。
秩父鉄道のSLが人気
そして、代表列車というべきはSL「パレオエクスプレス」です。1988(昭和63)年に、SL復活ブームに先がけて運行を開始。C58 363が国鉄型の12系客車を牽引する姿は勇壮で、子どもたちにも大人気です。
普通列車も旧・都営地下鉄三田線6000形や東急電鉄の8500系・8090系が使用され、地域の代表車として定着しています。それら列車の往時の活躍ぶりが懐かしくて、秩父鉄道を訪れるファンも多いのです。
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