トップ > カルチャー >  関東 > 埼玉県 >

西武安比奈線が廃線に

1960年代に入り、河川の砂利採取が禁止されると安比奈線はその役割を終え、のちに休止されました。

安比奈線はその後、復活・再生が検討され、安比奈駅付近に車両基地を建設する構想がもち上がり、かつての線路と敷地が利用されることになりました。

ところが、車両基地構想が2016(平成28)年に消滅。川越市でも安比奈線の旅客線化構想がありましたが、安比奈線自体が廃止されてしまったのです。

西武安比奈線の面影が残る

休止状態の頃から安比奈線には線路と架線柱が断続的に続き、草むした線路風景は時が止まっているかのような雰囲気でした。

正式な廃止を受けて、安比奈線はまず架線柱を撤去。線路内の立入禁止の措置をとりましたが、ノスタルジックな線路風景は変わりなく、2020(令和2)年の春現在も見ることができます。

南大塚駅では、下りホーム途中から左(北西方向)へ大きなカーブを描く敷地がありますが、これが安比奈線の廃線跡です。今でも、マンションが立ち並ぶなかに、草むした線路が続く風景が展開しています。

なお、近年までは保線用の線路が南大塚駅にあり、それが安比奈線のものでしたがこれはすでに撤去されています。

西部安比奈線跡はロケ地にも利用

国道16号を渡り進路を北西にとると、途中の小道に踏切跡があり、舗装された道路にはレールが残されています。小さな鉄橋や築堤も健在。NHKのテレビドラマのロケ地になったことで知られる鉄橋もあります。人気となったことで、鉄橋は一時期公開されていましたが、現在はすべて立入禁止となり柵が設けられています。

さらに入間川方向へ進むと、線路の築堤は八瀬大橋(やせおおはし)を渡る県道114号に阻まれて一時消滅。その先では入間川の河川敷となり、終点の安比奈駅跡が広がります。周辺はモトクロス場となっており、この付近のみ線路内に入れます。

線路と分岐器(ポイント)、コンクリートの遺構もわずかに残っていて、多数の列車が機関車に牽引され賑わったであろう風景がイメージでき、しばしタイムスリップした感覚を味わえます。

『埼玉のトリセツ』好評発売中!

日本の各県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。埼玉県の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!

『埼玉のトリセツ』●地図で読み解く埼玉の大地

八王子構造線が走る埼玉は西に山、東に低地の西高東低/地質・地形の見どころ満載!地球の窓、長瀞の大自然をゆく/クジラも泳ぐ古秩父湾が正方形状の秩父盆地になった!?/パレオパラドキシアに巨大ザメ、貴重な動物化石を秩父で産出!/海なし県なのに砂丘群の謎、中川低地に形成された河畔砂丘/入間川沿いで完全形化石も発見、日本固有種のアケボノソウって?・・などなど埼玉のダイナミックな自然のポイントを解説。

『埼玉のトリセツ』●埼玉を駆け抜ける鉄道網

国鉄・大宮工場に始まり鉄道の町に成熟した大宮/日光を巡る鉄道バトル、国鉄vs東武鉄道のゆくえ/東北新幹線の開通と埼京線敷設の苦難の歩み/埼玉ほか首都圏をぐるり、最強の貨物船・武蔵野線/西武新宿線は「新宿」ではなく国分寺~川越線で始まった!/「おとぎ列車」でSLも走っていた3駅2.8㎞、西武山口線の魅力・・などなど、意外と知られていない埼玉の鉄道トリビアを厳選してご紹介。

『埼玉のトリセツ』●埼玉で動いた歴史の瞬間

9基が現存するさきたま古墳群と稲荷山古墳で出土した鉄剣の意味/直径74mの巨大円墳・八幡山古墳が「関東の石舞台」と呼ばれるわけ/秩父で産出された同を使った日本初の流通貨幣、和同開珎/源頼朝による鎌倉幕府樹立と武蔵国を根拠地とした武蔵武士/太田道灌が長尾景春を討ち、難攻不落の鉢形城が遂に落城/江戸湾に注ぐ坂東太郎を東へ、利根川東遷と荒川西遷の大工事・・・などなど、興味深いネタに尽きない埼玉の歴史。知れば知るほど埼玉の歴史も面白い。

『埼玉のトリセツ』を購入するならこちら

リンク先での売上の一部が当サイトに還元される場合があります。
1 2

記事をシェア

※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。

まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!

エリア

トップ > カルチャー >  関東 > 埼玉県 >

この記事に関連するタグ