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備前福岡の市は「福岡千軒」と呼ばれ繁栄を極めた

室町時代には、それまで定期市(決まった日に市が立つ臨時市場)だった「福岡の市」が、常設市(常設店舗が並ぶ、現在の商店街のような市場)に変化。赤松氏の守護代である浦上氏が治める「守護城下町」として栄え、「福岡千軒」と呼ばれる中世の商都として繁栄を極めました。ピーク時には商人が1000人以上、人口は5000~1万人以上いたと伝えられています。

備前福岡の豪商は戦国武将にも影響を与えた

備前福岡の豪商は、後の戦国武将にも影響を与えています。黒田官兵衛(くろだかんべえ)の曽祖父の黒田高政(たかまさ)は近畿から備前福岡に移り住み、目薬の製造技術を身に付けたと考えられています。刀鍛冶は眼病を患うことが多いため、目薬の需要は高かったのでしょう。ここで築いた財産を元手に家来を集めた黒田家は、小寺(こでら)家に仕官して戦国大名として成長していきます。関ヶ原の合戦の後、筑前52万石を与えられた黒田長政(ながまさ)(官兵衛の息子)は、備前福岡をしのんで居城を「福岡城」と命名しています。

備前福岡となじみ深かった岡山城主の宇喜多直家

宇喜多直家(うきたなおいえ)の父・宇喜多興家(おきいえ)は、豪商・阿部善定(あべぜんてい)と関係を結んで宇喜多家の経済基盤を構築しました。直家にとっても備前福岡はなじみ深い土地で、岡山城主として岡山城下町を造る際には、備前福岡から多くの商人を岡山城下へ移住させています。

備前福岡は一時衰退するも城下町として復活

商人の移住と1591(天正19)年の吉井川の大洪水によって、備前 福岡は衰退を見せます。しかし1642(寛永19)年には岡山藩の在町(ざいまち)(商品作物の生産・販売が認められた、城下町と農村の中間のような町)の一つとなったことで往時の勢いが復活。また、1645(正保2)年に苅屋(かりや)城主・池田輝興(てるおき)が備前福岡に預けられたことで再整備が進み、城下町と引けを取らないレベルの町並みが整えられました。「備前福岡名所町、七口、七つ井戸、七小路」という言い伝えは、この時の整備によって誕生したものです。

備前福岡の往時の姿を今に伝える七つ井戸

七つ井戸は、飲用・消火用・生活用水を得るために作られた共同井戸。明治時代になってからは近隣住民が協力して 管理しており、昭和になってもしばらく使われていたといいます。七つも井戸があったのは、水源が豊富だったため。吉井川のすぐ近くなので、掘れば比較的簡単に井戸を掘り当てることができたのです。この豊富な水を生かして、かつては豆腐屋や造り酒屋も存在していたといいます。現在も七つのうち四つの井戸が、昔のままの姿で残っています。

備前福岡は守護城下町として整備された

襞(たび)

兵が家と家の間に潜めるよう、わざと家の配置をジグザグにした仕組み。

歪(ひずみ)

縦の道と横の道をずらすことで死角を作り、進入する敵を攻撃します。

横小路

黒田高政の屋敷があったとされる横小路。当時はこの道が吉井川まで続いていました。

市場小路

市場小路は両脇に商店が並んでいたため、他の小路より広い道幅となっています。

七つ井戸の跡

昭和30年代の道路舗装の際に埋められ、現在は跡だけが残っています。

七つ井戸

飲用・消火用・生活用水を得るために作られた共同井戸。現在も七つのうち四つの井戸が、昔のままの姿で残っています。

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Part.1 地図で読み解く岡山の大地

・瀬戸内海はどうやってできた?岡山県の成り立ち
・美作はなぜ西日本有数の温泉地なのか
・岡山県指定天然記念物井倉洞はどうやってできた?
・山から貝の化石がとれる不思議
・その大きさは世界2位! 児島湖はなぜ造られたのか?
・「晴れの国岡山」は「天文王国おかやま」だった!
・笠岡市がカブトガニ有数の生息地になった理由

…などなど岡山のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 岡山を走る充実の交通網

・瀬戸大橋が鉄道と併用できた理由
・西日本唯一の臨海鉄道線「水島臨海鉄道」の変遷を知る
・わずか16年で廃線になった、幻の三蟠鉄道
・津山扇形機関車庫から見る、岡山県の鉄道の歴史
・山陽新幹線は岡山発が多い?交通の要所・岡山駅のスゴさ
・日本で最も短い路面電車が地元で愛される理由

…などなど岡山ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 岡山で動いた歴史の瞬間

・伝説の城「鬼ノ城」は古代日本の防衛ラインだった
・巨大古墳群からひもとく吉備国と大和朝廷の関係
・戦国大名・宇喜多直家は、邑久郡の小領主だった
・難攻不落の備中高松城を、血を流さずに攻め落とせ!
・宇喜多秀家が基礎を築き池田家が整備した城下町
・岡山藩藩主の憩いの場として築かれた大庭園・後楽園

…などなど、激動の岡山の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 岡山で生まれた産業や文化

・古墳時代から受け継がれる備前焼
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・蒜山原野の開拓とジャージー牛導入の歴史
・養蚕・イグサ・綿・デニム…。岡山が誇る繊維業
・瀬戸内工業地域・水島コンビナートの誕生秘話
・倉敷市が一大観光地に成長した理由
・刀工集団・長船派は、どのようにして生まれたのか

…などなど岡山の発展の歩みをたどる。

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