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三宅精一の点字ブロックは第一号として地元岡山に敷設
点字ブロックの効用と三宅精一の人柄に感銘を受けた岡山県盲人協会(現在の岡山県視覚障害者協会)も、普及宣伝に協力します。岡山県や建設省と交渉し、1967(昭和42)年3月18日、岡山県立岡山盲学校近くの国道2号(現在の国道250号)の横断歩道口に、安全交通試験研究センターが贈呈した230枚の点字ブロックが敷設されたのです。これが、点字ブロックの敷設第1号となりました。同年には岡山市の上伊福(かみいふく)歩道橋や岡山駅前の横断歩道にも、敷設が完了。海外へも紹介され、ローマ法王をはじめ世界の有識者から大きな評価を受けました。
三宅精一は着色の必要性を説いて黄色の点字ブロックに改良
開発当時の点字ブロックはグレー色でしたが、視力の弱い人には色が付いていた方が分かりやすいのです。三宅精一は着色した点字ブロックの必要性を強調し、「色は黄色、30cm角、高さ5mm・直径3.5cmの突起を6列×6列で配列」の形に改良します。新しい道路や歩道橋ができるたびに点字ブロックを寄贈したため、安全交通試験研究センターの経営は常に厳しかったのでした。
三宅精一が考案したもう一つの機材
点字ブロックによって横断歩道の位置は分かっても、信号が何色なのかは分かりません。三宅精一が視覚障がい者に信号の色を知らせるために考案開発したのが、青信号になると振動する「振動触知式信号機」です。1967(昭和42)年6月に試作機が誕生し、翌年9月に宇都宮市で初めて設置されました。現在は音響式信号機(視覚障害者用信号機)と、同様の役割を果たしています。
三宅精一が考案した点字ブロックは国鉄や自治体が続々と採用
しかし点字ブロックの必要性は、徐々に全国に浸透します。視覚障がい者が駅のプラットホームから転落して死亡する事故が発生したころから、国鉄も点字ブロックに注目。1970(昭和45)年には阪和線我孫子町(あびこちょう)駅に点字ブロックが敷設され、国鉄の主要駅採用第1号となりました。1972(昭和47)年には東京都道路局道路管理部安全施設課が、高田馬場(たかだのばば)周辺に1万枚を敷設。徳島、宇都宮、仙台、長野、京都と、続々と自治体が採用していきました。
建設が進んでいた山陽新幹線も安全対策のためホームへの点字ブロック敷設を検討していましたが、駅のホームは薄いため厚みのあるブロックは敷設できません。“もっと薄い素材で作れないか”という要望を受け、ポリエステル樹脂による「点字プレート」が考案されました。1975(昭和50)年に全線開通した山陽新幹線では、岡山~博多の全駅に点字プレートが敷設されています。
点字ブロックが全国に普及するなかで発生した予期せぬ事態
こうして点字ブロックは全国に普及しましたが、予期せぬ事態が発生しました。製造会社が増えた結果、凹凸の形や並びが違うブロックが何十種類もできてしまったのです。不統一が事故につながるおそれもあるため、2001(平成13)年にJIS規格で「視覚障害者誘導用ブロック等の突起の形状・寸法及びその配列」が定められました。しかし色についての規格はなく、道路と同じ色の点字ブロックが敷設されている場所もあります。「誰もが安全に歩ける世の中」を目指し、さらなる規格の統一が検討されています。
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・瀬戸内海はどうやってできた?岡山県の成り立ち
・美作はなぜ西日本有数の温泉地なのか
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・山から貝の化石がとれる不思議
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・笠岡市がカブトガニ有数の生息地になった理由
…などなど岡山のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 岡山を走る充実の交通網
・瀬戸大橋が鉄道と併用できた理由
・西日本唯一の臨海鉄道線「水島臨海鉄道」の変遷を知る
・わずか16年で廃線になった、幻の三蟠鉄道
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・山陽新幹線は岡山発が多い?交通の要所・岡山駅のスゴさ
・日本で最も短い路面電車が地元で愛される理由
…などなど岡山ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 岡山で動いた歴史の瞬間
・伝説の城「鬼ノ城」は古代日本の防衛ラインだった
・巨大古墳群からひもとく吉備国と大和朝廷の関係
・戦国大名・宇喜多直家は、邑久郡の小領主だった
・難攻不落の備中高松城を、血を流さずに攻め落とせ!
・宇喜多秀家が基礎を築き池田家が整備した城下町
・岡山藩藩主の憩いの場として築かれた大庭園・後楽園
…などなど、激動の岡山の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 岡山で生まれた産業や文化
・古墳時代から受け継がれる備前焼
・岡山県の名産品・白桃は、なぜこんなにおいしいのか?
・蒜山原野の開拓とジャージー牛導入の歴史
・養蚕・イグサ・綿・デニム…。岡山が誇る繊維業
・瀬戸内工業地域・水島コンビナートの誕生秘話
・倉敷市が一大観光地に成長した理由
・刀工集団・長船派は、どのようにして生まれたのか
…などなど岡山の発展の歩みをたどる。
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