片上鉄道は鉱山の閉山とともに廃止
柵原鉱山は豊富な埋蔵量と高い品質を誇り、東洋一の硫化鉄鉱山と謳われました。硫化鉄鉱は硫酸や鉄の原料として利用され、硫酸は肥料や化学繊維の材料として高い需要がありました。昭和40年頃の最盛期には年間約90万t以上もの鉱石を産出していました。
しかし、その後の柵原鉱山の産出量は減少傾向となり、1987(昭和62)年11月に鉱石輸送はトラックに切り替えられ、翌年7月には鉱石輸送の営業は廃止されました。その後、硫黄や硫酸の新たな製造方法が発見され、硫化鉄鉱の利用価値が低下したことなどから需要が減少。柵原鉱山は、1991(平成3)年3月に閉山しました。旅客営業を続けていた片上鉄道も、同年6月30日に運転を終了。翌7月1日に片上鉄道線は廃止となりました。
片上鉄道の面影を感じられるスポット
現在、旧片上鉄道の線路跡は、全長34kmのサイクリングロード「片鉄ロマン街道」として活用されている。沿道には天瀬(あませ)駅、苦木(にがき)駅、吉ヶ原(きちがはら)駅の駅舎、プラットフォームの一部など当時の面影が今も残ります。また、旧吉ヶ原駅の駅舎は「柵原ふれあい鉱山公園」内に公園施設の一部として残り、国登録有形文化財に指定されています。片上鉄道を走っていた12の車両は、片上鉄道保存会によって保存され、月1回開催される保存車両の展示運転日には、実際の車両に乗車することもできます(展示運転日は要事前確認)。
『岡山のトリセツ』好評発売中!
地形、交通、歴史、産業…あらゆる角度から岡山県を分析!
岡山県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。岡山の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
Part.1 地図で読み解く岡山の大地
・瀬戸内海はどうやってできた?岡山県の成り立ち
・美作はなぜ西日本有数の温泉地なのか
・岡山県指定天然記念物井倉洞はどうやってできた?
・山から貝の化石がとれる不思議
・その大きさは世界2位! 児島湖はなぜ造られたのか?
・「晴れの国岡山」は「天文王国おかやま」だった!
・笠岡市がカブトガニ有数の生息地になった理由
…などなど岡山のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 岡山を走る充実の交通網
・瀬戸大橋が鉄道と併用できた理由
・西日本唯一の臨海鉄道線「水島臨海鉄道」の変遷を知る
・わずか16年で廃線になった、幻の三蟠鉄道
・津山扇形機関車庫から見る、岡山県の鉄道の歴史
・山陽新幹線は岡山発が多い?交通の要所・岡山駅のスゴさ
・日本で最も短い路面電車が地元で愛される理由
…などなど岡山ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 岡山で動いた歴史の瞬間
・伝説の城「鬼ノ城」は古代日本の防衛ラインだった
・巨大古墳群からひもとく吉備国と大和朝廷の関係
・戦国大名・宇喜多直家は、邑久郡の小領主だった
・難攻不落の備中高松城を、血を流さずに攻め落とせ!
・宇喜多秀家が基礎を築き池田家が整備した城下町
・岡山藩藩主の憩いの場として築かれた大庭園・後楽園
…などなど、激動の岡山の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 岡山で生まれた産業や文化
・古墳時代から受け継がれる備前焼
・岡山県の名産品・白桃は、なぜこんなにおいしいのか?
・蒜山原野の開拓とジャージー牛導入の歴史
・養蚕・イグサ・綿・デニム…。岡山が誇る繊維業
・瀬戸内工業地域・水島コンビナートの誕生秘話
・倉敷市が一大観光地に成長した理由
・刀工集団・長船派は、どのようにして生まれたのか
…などなど岡山の発展の歩みをたどる。
『岡山のトリセツ』を購入するならこちら
※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
まっぷるトラベルガイド編集部は、旅やおでかけが大好きな人間が集まっています。
皆様に旅やおでかけの楽しさ、その土地ならではの魅力をお伝えすることを目標に、スタッフ自らの体験や、旅のプロ・専門家への取材をもとにしたおすすめスポットや旅行プラン、旅行の予備知識など信頼できる情報を発信してまいります!