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津山扇形機関車庫は多くの旅客や貨物輸送を支えた
当時の津山駅は山陰と山陽をつなぐ要衝であり、姫新線・津山線・因美(いんび)線の交点にもなっていました。そのため中国山地を越えるための列車中継基地として、機関車への水・石炭の補給や乗務員の交替という重要な役割を担っていました。集まってくる多数の機関車に対処する必要があったため、17線の扇形車庫を設置。蒸気機関車全盛期の津山駅はその立地から、多くの旅客や貨物輸送を支えていたのです。
津山扇形機関車庫はどんな建物だったのか?
津山扇形機関車庫には、機関車を収容する17線と、車両を検査・修繕するための道具置場、技工長室、修繕室、鍛冶場などがありました。車庫は鉄筋コンクリート造で、当時の鉄道省による「扇形機関車庫設計標準図」に準じた設計です。なお、黒い蒸気機関車とばい煙によって暗くなりがちな庫内に自然光を取り入れるため、車庫の背面には広いガラス窓が並んでいます。
津山扇形機関車庫の中央に設けられた転車台
扇形機関車庫の中央にある転車台には、転車台桁60ft(約18.3m)下路式(かろしき)が設置されています。この転車台は扇形機関車庫が建設されるより前の1930(昭和5)年に、電動牽引機(けんいんき)とともに設置されました。それまで走っていた230形や500形のタンク機関車はバック運転が比較的容易でしたが、新しく津山に乗り入れることになった8620形テンダー機関車はバック運転が難しく、転車台が必要でした。蒸気機関車には後退が苦手な車両も多く、方向転換が必要な拠点駅や終着駅には転車台が設けられていたといいます。
津山扇形機関車庫と転車台は津山のシンボルとして保存・展示
やがて石炭を動力とした蒸気機関車は、時代の流れとともにエンジンを搭載したディーゼル機関車へと変わり、扇形機関車庫と転車台は本来の役割を果たすことが少なくなっていきます。しかし、その特徴的な車庫の形や転車台は津山のシンボルとして親しまれ、保存利用されました。
国内に現存する扇形機関車庫の中で、梅小路(うめこうじ)機関車庫(京都市)に次ぐ2番目の規模を誇る「旧津山扇形機関車庫」。2016(平成28)年4月2日からは、津山駅構内にある「津山まなびの鉄道館」の一部として、鉄道文化・歴史の紹介や貴重な13の現存車両とともに展示・公開されています。扇形車庫と転車台は保存状態がよいことから、その価値が高く評価されます。「近代化産業遺産(対象:機関車庫と転車台)」「日本の近代土木遺産 -現存する重要な土木構造物2800選」「岡山県の近代化遺産」「鉄道記念物」などに指定されています。
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