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神近義邦が構想時に描いた理想像
ところで、前述に「ハウステンボス」をテーマパークと表現しましたが、神近義邦は従来のそれとは異なる構想をもっていました。いっときの遊び場ではなく、そこに人が滞在あるいは定住し、生活を営み、文化を育み、世代交代しながら100年、1000年と続く「街」の創造です。
観光事業は自然環境、商業施設、スポーツ・文化施設など豊かな住空間を創出するための一事業という位置づけ。これは従来にない新しい複合産業の提案であり、スケールの大きな大人の夢でした。
ハウステンボス・プロジェクトは、神近義邦が描いたこの夢に共感した数十社の企業、長崎県や佐世保市などの地方自治体をはじめ、多くの支援者を味方につけて動きはじめました。
神近義邦のもう一つのテーマ「エコノミーとエコロジーの共存」
ハウステンボスを語るとき、レンガ一枚にも妥協を許さない「本物志向」に焦点が当てられることが多いですが、神近義邦が掲げたもうひとつのテーマは「エコノミーとエコロジーの共存」でした。この信念を貫くことは、土地の造成だけをとっても大変なものでした。
全長6㎞の運河の護岸は海と陸の生物が交流できるよう自然石と土を積み、黒いヘドロに覆われた土壌は表土を剝ぎとり、苦土石灰をまき、ピートモスで土壌を改良しました。排水は3次処理してトイレの洗浄水、植栽への散水などに使い、排水基準をはるかに下回る数値まで浄化。場内の生ゴミを分別・堆肥化するコンポストシステムを採用するなど、環境への配慮を徹底しました。
ハウステンボスの経営破綻と再興
しかし2003年、ハウステンボスは業績不振により経営破綻。2010年にHISの傘下となり、澤田秀雄社長のもと半年で開業後初の黒字を出し話題となりましたが、「エコノミーとエコロジーの共存」の信念は継承されました。なかでも再生可能エネルギーについては、ハウステンボスの将来に向けての大きな収益源として期待が寄せられています。
ハウステンボスの「環境未来都市」としての姿
ロボット技術を取り入れた「変なホテル」には太陽光と水素、コ・ジェネレーションシステムを併用したエネルギーの自給自足を実践。また、液化天然ガス(LNG)を燃料としたガスエンジンを所有し、園内の電力消費量の約半分を賄っています。
現在、世界中でCO2削減、エネルギー自給率の向上が問題視されていますが、「環境未来都市」として歩み続けるハウステンボスの今後の展開は多方面から注目されています。
現在のハウステンボス周辺
場内は季節の花が咲き乱れる「フラワーロード」、レンガ造りの建物が集まる「アムステルダムシティ」など10の街区で構成。長崎空港からは海から船で入場することもできます。
ハウステンボス
- 住所
- 長崎県佐世保市長崎県佐世保市ハウステンボス町1-1
- 交通
- ハウステンボス駅から徒歩すぐ、長崎空港から西肥バスで約50分、長崎空港から高速船で50分
- 料金
- 一日パスポート7000円※チケットのタイプによって金額が異なります。詳細は公式ページでご確認ください
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・地殻変動と火山が生んだ唯一無二の景観! 海に囲まれ平地が少ない長崎の地形
・島の数971! 長崎は日本一の多島県
・火山活動が作ったダイナミックな地形! 島原半島ジオパークとは?
・長崎は江戸時代から埋立都市だった?
・「国境の島」対馬の特殊な生態系
・水中調査で解明! 横島沈没の謎
・国内初のティラノサウルス発掘! 長崎は白亜紀の化石の宝庫だった
・世界でも稀な西海市の七ツ釜鍾乳洞
・最先端をゆく五島の洋上風力発電
…など
Part.2 長崎に開かれた多彩な交通網
・初期の長崎本線は早岐経由だった
・新幹線開業に向け再開発中! 長崎駅の今昔
・新旧の車両が行き交う長崎電気軌道
・小島が国際空港に! 長崎空港は世界初の海上空港
・長崎が生んだ画期的な交通手段! 坂を上る日本初のエレベーターとは!?
・東洋一と称された西海橋の誕生
・進化を遂げた長崎街道の日見峠
・松浦鉄道には3つの日本一がある!?
・当時の面影が残る雲仙鉄道の廃線跡
・島原鉄道は奇跡のローカル線!?
・吉田初三郎が描いた 長崎の鳥瞰図
Part.3 長崎で動いた歴史の瞬間
・東アジアの一大交流拠点だった! 原の辻遺跡が語る古代の交易
・“神風”の謎が海底遺跡調査で判明!? 鷹島神崎遺跡から見る蒙古襲来
・ポルトガルが平戸で貿易を始めたワケ
・なぜ長崎は教会領になったのか
・町民が主役!? 特例だらけの貿易都市長崎の誕生
・ラクダを飼っていた!? オランダ人の出島生活の実態とは
・龍馬を襲った「いろは丸事件」の真実
・倒幕の裏には大村藩士の活躍があった
・人口約4000人の村が一変!? 寒村だった佐世保が大変貌したワケ
…など
Part.4 長崎で生まれた産業や文化
・印刷も写真も通信も長崎発祥!? 長崎は“日本初”を量産していた!
・世界遺産に登録された日本造船業の原点! 三菱長崎造船所のあゆみ
・細部まで技巧を凝らした圧巻の建築美! 数々の教会堂を手がけた鉄川与助とは
・テーマパークの枠に留まらない魅力に迫る! 進化するエコシティ ハウステンボス
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※掲載の情報は取材時点のものです。お出かけの際は事前に最新の情報をご確認ください。
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