佐世保鎮守府の建造と開庁
政府は巨額を投じて港周辺の工事を開始。発破を仕掛けて山を切り崩すなど大がかりで危険な作業が多かったことから死傷者が続出するも、明治22(1889)年、軍港と造船部を併設した佐世保鎮守府が開庁しました。
その後も、岸壁や船渠(せんきょ)(ドック)、工場など最先端の施設、設備を次々と建造。それらの事業を通じて各種技術はめざましく進歩しました。
佐世保鎮守府の立神係船池は東洋一の規模だった
海軍技師の真島健三郎はセメントに火山灰を混入することで、当時海水に弱いとされた国産コンクリートの欠陥を解決。この工法を用いることで、いったん竣工するも漏水のため使用が困難だった第一船渠(現・佐世保重工業第5ドック)が明治34(1901)年に日の目を見ることになり、大正5(1916)年には「明治時代における海軍最大の土木工事」とされた立神係船池(たてがみけいせんち)が11年を費やして完成。この係船池は南北約576m、東西約364m、1万t級の船を同時に9隻係留できるもので、東洋一の規模を誇りました。
佐世保鎮守府の設置で開発が進み人口も増加
さらに、佐世保の開発は都市機能の整備にもおよびました。長崎県は無秩序に家を建てることを規制し、碁盤の目のような街区を造成。人口増加による深刻な水不足解消のため水道の整備を行い、明治40(1907)年には全国で10番目の都市水道が給水を開始しました。
そのほか鉄道、通信、炭鉱などの施設整備も進められ、商業を含めて各種産業が発展し、市民の生活水準も向上。かつて4000人ほどだった人口は、鎮守府開庁から13年後の明治35(1902)年に5万人に達し、「佐世保村」から「町」を経ずして「佐世保市」に昇格。戦争が起こるたびに軍事・都市機能は拡充を繰り返しながら、第一次世界大戦時の大好景気に沸いた大正4(1915)年には10万人、第二次世界大戦末期の昭和19(1944)年には佐世保史上最多の28万人を超えました。
佐世保鎮守府の解体と現在も現役の各種インフラ
昭和20(1945)年、終戦にともない佐世保鎮守府は解体されましたが、鎮守府とともに整備された造船所、鉄道、各種インフラの多くは市民の生活や文化を支える都市基盤として、100年を超えた今なお現役で、日本の海上自衛隊と米海軍第7艦隊が駐留する「基地の町」として知られます。
佐世保鎮守府周辺の今昔比較
佐世保の鎮守府の設置が決定すると、山を切り崩し、水田のかさ上げ、埋め立てなどの土木工事が猛スピードで行われ、港沿岸に海軍、造船部関連の施設を集めて建設。大正時代ほぼ同時期に建造された立神係船池や英国製250tクレーンなどは現在も稼働しています。
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・龍馬を襲った「いろは丸事件」の真実
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…など
Part.4 長崎で生まれた産業や文化
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