岡山にダムが多い理由:急勾配な川の流れがもたらす渇水
「岡山県内を南北に貫く大きな川が、3本流れている」という事実を見ると水資源が豊富なように思われる岡山県ですが、しばしば渇水に見舞われます。吉井川・旭川・高梁川は、3本とも中国山地に源を発し、瀬戸内海に向かって南下しています。河川延長が短く勾配が急なので、日照りが続くと川の水がすぐに少なくなってしまうのです。特に1994(平成6)年の渇水では、三大河川全てで取水制限を行うなどの緊急措置を講じましたが、5市11町1村の約130万人に影響が及びます。特に倉敷市をはじめとする高梁川下流は影響が大きく、8月25日から9月29日まで36日間も16時間断水が続きました。
岡山にダムが多い理由②:豪雨災害に弱い川の構造と岡山平野の地質
災害の少ない県といわれる岡山県ですが、実は豪雨災害に弱い傾向があります。三大河川は中国山地から上流部の盆地を経て、岡山県中部の丘陵地帯に位置する狭小な渓谷を蛇行します。南部の岡山平野に入れば比較的勾配が緩やかになりますが、細くて狭い場所に上流から一気に水が流れてくれば、下流で洪水が発生します。しかも岡山平野は上流から運ばれてきた土砂が堆積してできた平地と、干拓地でできています。洪水時の河川の水位より平野の方が土地が低いため、一度川が氾濫すると被害が拡大しやすいのです。このような地域で水資源を安定的に利用し、洪水から生活を守るためには、水を一時的に貯留する「ダム」が必要となります。
岡山にはダムが168カ所も! 北海道に次ぐ国内2位の多さ
ダムの目的は「洪水調整」「既得取水の安定化及び河川環境の保全等」「かんがい用水」「水道用水」「工業用水」「発電」と多種にわたります。岡山県のダムは168カ所。これは北海道の197カ所に次いで、国内2位の多さです。真庭市の湯原ダム(旭川水系)は、中国電力と岡山県の共同で建設された、多目的ダム。洪水調節と発電を目的としており、湛水面積(貯水池に最高水位まで水が貯まったときの、水面の面積)455haは中国地方最大であり、ダムの下に湯原温泉の名湯「砂湯」があることでも知られています。
岡山のダム44か所でで事前放流が可能に
2020(令和2)年5月、岡山県内においても、洪水調節機能強化を推進する目的で、河川管理者(県内一級水系であれば国)、並びにダム管理者及び関係利水者で、治水協定を締結。これにより岡山県内一級水系の全ダム44カ所で事前放流が行われることとなり、洪水被害の低減が期待されています。
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岡山県の地形や地質、歴史、文化、産業など多彩な特徴と魅力を、地図を読み解きながら紹介するマップエンターテインメント。岡山の知っているようで知られていない意外な素顔に迫ります。思わず地図を片手に、行って確かめてみたくなる情報を満載!
Part.1 地図で読み解く岡山の大地
・瀬戸内海はどうやってできた?岡山県の成り立ち
・美作はなぜ西日本有数の温泉地なのか
・岡山県指定天然記念物井倉洞はどうやってできた?
・山から貝の化石がとれる不思議
・その大きさは世界2位! 児島湖はなぜ造られたのか?
・「晴れの国岡山」は「天文王国おかやま」だった!
・笠岡市がカブトガニ有数の生息地になった理由
…などなど岡山のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 岡山を走る充実の交通網
・瀬戸大橋が鉄道と併用できた理由
・西日本唯一の臨海鉄道線「水島臨海鉄道」の変遷を知る
・わずか16年で廃線になった、幻の三蟠鉄道
・津山扇形機関車庫から見る、岡山県の鉄道の歴史
・山陽新幹線は岡山発が多い?交通の要所・岡山駅のスゴさ
・日本で最も短い路面電車が地元で愛される理由
…などなど岡山ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 岡山で動いた歴史の瞬間
・伝説の城「鬼ノ城」は古代日本の防衛ラインだった
・巨大古墳群からひもとく吉備国と大和朝廷の関係
・戦国大名・宇喜多直家は、邑久郡の小領主だった
・難攻不落の備中高松城を、血を流さずに攻め落とせ!
・宇喜多秀家が基礎を築き池田家が整備した城下町
・岡山藩藩主の憩いの場として築かれた大庭園・後楽園
…などなど、激動の岡山の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 岡山で生まれた産業や文化
・古墳時代から受け継がれる備前焼
・岡山県の名産品・白桃は、なぜこんなにおいしいのか?
・蒜山原野の開拓とジャージー牛導入の歴史
・養蚕・イグサ・綿・デニム…。岡山が誇る繊維業
・瀬戸内工業地域・水島コンビナートの誕生秘話
・倉敷市が一大観光地に成長した理由
・刀工集団・長船派は、どのようにして生まれたのか
…などなど岡山の発展の歩みをたどる。
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