更新日: 2024年1月26日
男体山の噴火で奥日光はできた?!明治の駐日外交官も絶賛した佳景
煮えたぎる溶岩流が川を堰き止め巨大な湖をつくると、今度は灼熱の火砕流が湖を埋め尽くす。原始の奥日光は火と水がせめぎ合う天地創造の舞台でした。
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男体山の噴火が深く関係する奥日光の地形
明治時代、イギリス人女性旅行家のイザベラ・バードやイギリス公使アーネスト・サトウも魅了された、奥日光の美しい風景。青い水を満々と湛えて静かに広がる中禅寺湖(ちゅうぜんじこ)と、それを見下ろす雄大な男体山(なんたいさん)。現在見られる奥日光の繊細かつダイナミックな地形ができるまでには、実は男体山の火山活動が深く関係しています。標高2486m、関東で2番目に標高の高い男体山は、円錐形の美しい山容を持つ成層火山で日光火山群に属します。山の表層はスコリア質の降下堆積物(多孔質の黒っぽい塊)や軽石で覆われており、山体斜面には「薙(なぎ)」と呼ばれるまるで薙刀(なぎなた)でえぐったような放射状の谷が多く見られます。これは男体山が現在進行形で崩れている証拠であり、大きいものは崩壊面が尾根まで達しています。
男体山が崩れる理由
山が崩れるのは、溶岩と火山灰や軽石の互層構造(溶岩の間に火山灰や軽石が挟まれたサンドイッチ状)になっているからです。火山灰や軽石が雨によって流出すると、空洞ができて不安定になった軽い溶岩が崩れていきます。男体山とは、その美しい姿とは裏腹に、崩壊し続ける山なのです。
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