更新日: 2024年9月23日
長野県の農業~気候風土を生かした高冷地農業のここがすごい!~
南北に212㎞ 、東西に120㎞ 、総面積全国4位の長野県は、農家戸数が全国1位、農業就業人口は全国3位(2015年)の農業大国です。
長野県が農業大国になった背景
長野県は山岳地帯に位置することから、平均標高が1132mで日本一。長野県内の耕地は標高260~1490mに広がっており、農地の約8割が標高500m以上にあります。周囲を山脈に囲まれ、台風、低気圧、前線などの影響を比較的受けにくいため、年間降水量が全国最小で湿度が低く、海岸沿いと比べて雲ができにくいため、日照時間が長い傾向にあります。日較(にちかく)差(1日の最高気温と最低気温の差)と年較(ねんかく)差(1年の最暖月の平均気温と最寒月の平均気温の差)が大きいことも特徴です。
こうした気候条件を生かすため、標高の高い高冷地ではレタスやハクサイなどの高原野菜を栽培する高冷地農業が早くから導入されました。また、標高差による多様な品目の栽培や長野県内での産地リレーなど、生産性向上のために多様な取り組みが進められてきました。その結果、1991(平成3)年には、農産物産出額が史上最高の4119億円を記録。近年は減少傾向にあるものの、2018(平成30)年は3142億円で全国8位、米や畜産などを除いた園芸作物だけ見れば全国2位の産出額を誇ります。6次産業化への取り組みなどにより、農業関連産出額は年々増加傾向にあります。
さらに長野県は、三大消費地(東京・大阪・名古屋)までのアクセスが良好で、新鮮なものを早く出荷できる地の利にも恵まれています。とくに昭和40年代に鉄道からトラック輸送へ切り替わり、昭和50年代半ばの高速道路の整備により、市場がさらに広がりました。
長野県の農業の特徴①:日本一のレタス生産地
地域別に見ると、千曲川の源流部に位置する標高1100m以上の川上村では、1935(昭和10)年に鉄道が開通したことで販路が広がり、ハクサイ、キャベツなどの高原野菜の栽培が盛んになりました。さらに戦後は、米国進駐軍向けのレタス特需や食生活の洋風化にともなう国内需要の増加を受け、レタス栽培が本格化しました。地域内の標高差や気温差を利用した生産によって、日本一のレタス生産地となっています。
長野県の農業の特徴②:青森に次ぐリンゴの生産地
また、1874(明治7)年から栽培が始まった、長野県内でもっとも栽培面積、生産量の多い果物であるリンゴは、昭和初期の養蚕業不振からリンゴへの転作が奨励されたことで拡大し、青森県に次ぐ産地となっています。
長野県の農業の特徴③:米の栽培も盛ん
広域で栽培されている米は10アール当たりの収量、1等米比率で直近10年全国1~3位をキープしています。
長野県は加工品やグルメも豊富
多彩な農作物が生産できることから、加工品の生産も盛んで、味噌の出荷額は全国1位、日本酒蔵数、ワイナリー数は全国2位となっています。また、江戸時代に京都から持ち帰った天王寺カブが気候により変化したと伝わる野沢菜ほか、そば、おやき、五平餅、栗菓子など豊かな食文化が育まれています。
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