松代大本営の工事は極秘で行われた
1944(昭和19)年9月から周辺用地の買収が始まり、同年11月11日から工事が始まりました。防衛省には当時の設計図が保存されていますが、機密保持のため「松代倉庫新設工事設計図」と表書きされています。
建設工事は翌1945(昭和20)年8月15日に終戦を迎えるまで9カ月間にわたって続けられました。その間に投入された労働力は延べ300万人を超え、多くの朝鮮人労働者が含まれていたといいます。一日二交替から三交替の突貫工事で進められ、食糧事情や労働環境は悪く、少なからぬ犠牲者が出たとされています。総工費は当時の金額で1億円とも2億円ともいわれていますが、当時の関係資料がほとんど残されていないため、詳細はわかっていません。
松代大本営は終戦で実際には利用されず
総延長10㎞に及ぶ巨大地下壕が掘り抜かれ、全工程のおよそ8割が完成していたものの、大本営を移転する前に終戦となり、松代大本営地下壕が実際に利用されることはありませんでした。
松代大本営地下壕
松代大本営は戦後どうなった?
終戦直後、アメリカ陸軍情報部の防諜(ぼうちょう)隊(CIC)は対日占領任務の一環として、松代の地下壕を調査しています。米軍としては、占領後に蜂起があることまで想定し、日本の軍事施設はすべて把握しておく必要があったのでしょう。
戦後の松代大本営地下壕は放置されていましたが、1989(平成元)年から象山地下壕は長野市観光課によって一部が公開されるようになり、戦争遺跡として戦時中の出来事を後世に伝える役割を果たしています。
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Part.1 地図で読み解く長野の大地
・地形・地質総論「東西から圧縮されている長野」
・伊那山地と南アルプスを縦貫!日本最大の断層・中央構造線
・大地溝帯フォッサマグナとかつて信州が海だった証
・火山活動の歴史を物語る山容 八ヶ岳連峰の南北で大きな違い
・北アルプス唯一の活火山!焼岳の噴火と上高地盆地の形成
・天竜川と断層で形成された伊那谷の日本一の河岸段丘
・野尻湖のナウマンゾウ化石に旧石器人の生活が見える?
・千曲川沿いの段丘上に築かれ、急崖と川が守る上田城のすごさ
などなど長野のダイナミックな自然のポイントを解説。
Part.2 長野を駆け抜ける鉄道網
・高崎~長野の長野新幹線に始まり敦賀への延伸を目指す北陸新幹線
・66.7パーミルの勾配路線だった信越本線碓氷峠とは?
・東京と名古屋を結ぶ大幹線で山岳地帯を駆け抜ける中央本線
・明治期に開通し善光寺平と松本盆地を結ぶ篠ノ井線
・伊那谷やアルプスを望み旧型国電も走った飯田線
・県内最大の路線網を誇った、私鉄・長野電鉄の変遷
・別所温泉に向かう温泉電車、上田電鉄別所線の魅力
などなど長野ならではの鉄道事情を網羅。
Part.3 長野で動いた歴史の瞬間
・縄文遺跡の宝庫・信州は日本一の人口密度だった!?
・信濃の国は有数の馬産地! 都に名を馳せた望月の駒とは?
・弓馬に長けた信濃武士が源氏配下として平氏討伐
・信州の南北戦争と呼ばれる大塔合戦はどうして起きた?
・甲斐武田信玄vs越後の上杉謙信、二大英雄が激戦を演じた川中島
・流転した善光寺の本尊は天下人の元に安置された?
・松本の貞亨騒動や上田の宝暦騒動 信州で百姓一揆が続発したわけ
・松本城が直面した取り壊し危機 救ったのは松本の住民だった!
などなど、激動の長野の歴史に興味を惹きつける。
Part.4 長野で育まれた産業や文化
・江戸時代に整備された用水路 五郎兵衛用水路とは?
・信州の気候風土を生かした寒冷地農業のここがすごい!
・蚕糸王国として栄えた長野県が電気機械工業県に変貌したわけ
・明治期の外国人別荘に始まる軽井沢エリアのリゾート化
・洪水を繰り返してきた暴れ川、千曲川を巡る治水事業の全容
・日本三大奇祭に数えられる、諏訪大社の御柱祭の本質とは!?
などなど長野の発展の歩みをたどる。
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