車両は、開業時はドイツのコッペル社の蒸気機関車が客貨車を牽引しましたが、電化後は米国ジェフェリー社の電気機関車や電車に変更されます。
高原列車として親しまれますが、1935（昭和10）年12月に省営自動車（国鉄バスを経て現・JRバス）の吾妻線、上州草津線が開業すると利用者は徐々にバスへシフトしていきます。さらに、国鉄長野原線（現・JR吾妻線）が1945（昭和20）年に開業し利用者離れが進み、戦後の台風被害も追い打ちをかけ利用者は激減。1962（昭和37）年２月、廃止となりました。

現在、軌道跡は道路に転用された場所が多い半面、深い藪に覆われて自然に戻る区間も少なくありません。そのなか鉄橋の橋台なども多く残り、廃線跡を見ることができます。

起点の新軽井沢駅は、草軽電気鉄道の後身である草軽交通のバスの車庫となり、終点の草津温泉駅には記念碑が建っています。旧軽井沢のカラマツ並木の「三笠通り」は上下線が分かれていますが、これは草軽電気鉄道の名残で、下り線は線路跡を利用したものです。途中の北軽井沢駅には駅舎が保存され、国の登録有形文化財になっているほか、軽井沢駅前には電気機関車のデキ12形が保存されています。

草軽交通は現在、軽井沢～草津温泉間に「急行草軽線」のバスを運行しており、これは、実質的に草軽電気鉄道の遺伝子を受け継いだ路線です。北陸新幹線に軽井沢駅で接続して所要76分ほどで走破。鉄道時代の３時間半を大幅に短縮し、東京からもっとも早く草津温泉へアプローチできるルートを築いています。鉄道時代同様、浅間山の美しい風景を眺めながら、高原をいく快適な路線バスとして利用者には大好評です。

1945年（昭和20年）の終戦以降に廃止となった鉄道路線を地図上に表示。かつての路線網の充実ぶりに驚かされます。各廃線にも解説コメントを添えるのはもちろんのこと、歴史的価値の高い建造物や橋梁、隧道（トンネル）などの遺構群のプロットにも注力。日本の発展とともに歩んだ鉄道の歴史を、地図を辿りながら読み解きます。

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