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北陸新幹線の特徴①:電気の周波数が途中で変わる

北陸新幹線には大きな特徴があります。まず、数ある新幹線のなかで唯一、架線に流れる電気の周波数が途中で変わることです。

国内で供給される電気は一般に、東日本が交流50ヘルツ西日本が60ヘルツになっています。在来線の交流電化区間もそれに準じています。新幹線の場合、東海道新幹線はふたつの周波数をまたいで運転されますが、対応が難しかったことなどから60ヘルツで建設され、以降、山陽新幹線、九州新幹線も60ヘルツとしています。いっぽう、東北・上越・北海道新幹線などは50ヘルツを採用。北陸新幹線は西日本への延伸と、50ヘルツの東北・上越新幹線との共用を考え、軽井沢~佐久平間で50ヘルツから60ヘルツに切り替えるしくみにしました。これは新幹線では初めてのことです。

北陸新幹線路線図(長野県域)

北陸新幹線の列車は東京駅を発つと大宮駅、高崎駅などを経て軽井沢駅から長野県内に入ります。長野県内の停車駅は、ほかに佐久平・上田・長野・飯山の4駅です。なお、供給される電気は、軽井沢駅~佐久平駅間で50ヘルツから60ヘルツに切り替わります。正式には東京~大宮間は東北新幹線で、大宮~高崎間は上越新幹線です。

北陸新幹線の特徴②:連続する急勾配

もうひとつは、群馬、長野県境の急峻な碓氷峠を克服するため、30パーミル(1㎞で30mの高低差)の急勾配が約30㎞も連続することです。九州新幹線には40パーミル勾配が存在しますが一部区間であり、連続する急勾配は北陸新幹線だけです。

北陸新幹線の特徴③:特別仕様の設備と車両

上記2点に対応するため、北陸新幹線では車両に対策が施されました。まず、50ヘルツ、60ヘルツの周波数のどちらでも走行できる車両を開発するとともに、連続する勾配に耐え得る抑速ブレーキ(勾配を下る時に使用する)を搭載しました。この初代車両がE2系新幹線電車です。

E2系は、それまで主役だった200系の後継となるJR東日本の標準型として開発され、北陸新幹線開業と同時に登場します。国鉄時代に製造された200系は、アイボリーにグリーンを基調とした車体色でしたが、E2系ではホワイトにブルー、赤やピンクのラインが入る色彩となり、その後のJR東日本の新幹線にもイメージが踏襲されています。空力特性を考慮した先頭部も斬新でスタイリッシュに変身。東北新幹線に運用される車両には、「つばさ」や「こまち」で使用する分割併合装置が先頭車に装備されました。長く活躍しましたが、N編成と呼ばれる北陸新幹線用の編成は2017(平成29)年3月をもって営業運転を終了しました。

北陸新幹線のパワーアップした車両「E7系」・「W7系」

代わって登場したのが、E7系(JR東日本)W7系(JR西日本)です。JR東西2社が共同開発した車両で、アイボリーホワイトに空色、銅色のラインが入り、さらにスピード感ある先頭形状が採用されました。
出力300キロワットのモーターを搭載した電動車10両、付随車2両の12両編成ですが、碓氷峠の30パーミルの連続勾配では、電動車が故障時など6両になっても途中起動ができる性能を備えるなど性能が向上しました。

北陸新幹線は、新大阪までの全線開業を目指し、敦賀への延伸工事が進められており、今後ますますの活躍が期待されています。

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Part.1 地図で読み解く長野の大地

・地形・地質総論「東西から圧縮されている長野」
・伊那山地と南アルプスを縦貫!日本最大の断層・中央構造線
・大地溝帯フォッサマグナとかつて信州が海だった証
・火山活動の歴史を物語る山容 八ヶ岳連峰の南北で大きな違い
・北アルプス唯一の活火山!焼岳の噴火と上高地盆地の形成
・天竜川と断層で形成された伊那谷の日本一の河岸段丘
・野尻湖のナウマンゾウ化石に旧石器人の生活が見える?
・千曲川沿いの段丘上に築かれ、急崖と川が守る上田城のすごさ

などなど長野のダイナミックな自然のポイントを解説。

Part.2 長野を駆け抜ける鉄道網

・高崎~長野の長野新幹線に始まり敦賀への延伸を目指す北陸新幹線
・66.7パーミルの勾配路線だった信越本線碓氷峠とは?
・東京と名古屋を結ぶ大幹線で山岳地帯を駆け抜ける中央本線
・明治期に開通し善光寺平と松本盆地を結ぶ篠ノ井線
・伊那谷やアルプスを望み旧型国電も走った飯田線
・県内最大の路線網を誇った、私鉄・長野電鉄の変遷
・別所温泉に向かう温泉電車、上田電鉄別所線の魅力

などなど長野ならではの鉄道事情を網羅。

Part.3 長野で動いた歴史の瞬間

・縄文遺跡の宝庫・信州は日本一の人口密度だった!?
・信濃の国は有数の馬産地! 都に名を馳せた望月の駒とは?
・弓馬に長けた信濃武士が源氏配下として平氏討伐
・信州の南北戦争と呼ばれる大塔合戦はどうして起きた?
・甲斐武田信玄vs越後の上杉謙信、二大英雄が激戦を演じた川中島
・流転した善光寺の本尊は天下人の元に安置された?
・松本の貞亨騒動や上田の宝暦騒動 信州で百姓一揆が続発したわけ
・松本城が直面した取り壊し危機 救ったのは松本の住民だった!

などなど、激動の長野の歴史に興味を惹きつける。

Part.4 長野で育まれた産業や文化

・江戸時代に整備された用水路 五郎兵衛用水路とは?
・信州の気候風土を生かした寒冷地農業のここがすごい!
・蚕糸王国として栄えた長野県が電気機械工業県に変貌したわけ
・明治期の外国人別荘に始まる軽井沢エリアのリゾート化
・洪水を繰り返してきた暴れ川、千曲川を巡る治水事業の全容
・日本三大奇祭に数えられる、諏訪大社の御柱祭の本質とは!?

などなど長野の発展の歩みをたどる。

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