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涸沢カール~穂高連峰に形成された氷河地形~

まっぷるトラベルガイド編集部

更新日: 2024年1月26日

涸沢カール~穂高連峰に形成された氷河地形~

3000m級の山々が並ぶ穂高連峰には、氷河がつくった地形が残されています。代表格の涸沢カールなどは、いつどのようにして形成されたのでしょうか。

涸沢カールは氷河地形の代表格

かつて日本には氷河がないといわれていましたが、近年、鹿島槍ヶ岳のカクネ里雪渓(せっけい)(長野県大町市)や剱岳の池の谷(たん)雪渓(富山県上市町)、唐松岳の唐松沢雪渓(長野県白馬村)など国内数カ所で氷河が確認されています。

いっぽう、約1万年前に最終氷期が終わるまで、日本アルプスの各所や北海道の日高山脈には氷河が存在していました。その証拠は、長野の山々にも刻まれています。たとえば、南アルプスの赤石岳、荒川岳、仙丈ヶ岳、中央アルプスの木曽駒ケ岳や三ノ沢岳(さんのさわだけ)、南駒ヶ岳、そして北アルプスの槍・穂高連峰や立山・剣連峰、薬師岳、双六岳(すごろくだけ)、野口五郎岳、白馬岳などには、山岳氷河がつくり出した地形が残されているのです。

氷河は、自重によってゆっくりと流れ出し、長い時間をかけて、山肌を侵食しながら砕屑物を下流に運搬し、さまざまな氷河地形をつくり出します。代表的なものにカール(圏谷(けんこく))、U字谷モレーンなどがあります。そのなか、国内最大規模といわれるカール地形が、北アルプス・奥穂高岳に形成された涸沢(からさわ)カール(松本市)です。

横尾から本谷橋を経由し穂高へ入る登山ルートでは、横尾谷のU字谷や涸沢カールなど、氷河の流れによってできた氷河地形を体感できます。

氷河地形用語:カールとは

カールは、流れ出た氷河が山肌を削りとってできる、スプーンですくいとったような椀状の谷地形です。U字谷は氷河の削った断面がU字状になっている谷のことで、どちらも氷河の侵食によってできた地形です。

氷河地形用語:モレーンとは

いっぽう、カールの内側では氷河によって運ばれた岩石・岩屑・土砂などが積み重なって、氷河が後退すると、末端部に小高い丘のような地形がつくられます。これがモレーン(堆石)と呼ばれる地形です。モレーンは周囲より豊かな植生をもち、緑に覆われた盛り上がった地形になることが多くあります。涸沢ヒュッテもモレーン上に建っています。

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